エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.838
2020.03.05 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
ここまで外装周りから内部構造に至るまで、「Define 7 XL」をくまなくチェックした。ここからはPC構成パーツを用意し、組み込み作業を行っていこう。複雑な構造ゆえにマニュアルでは分かりにくい事、実際に作業する事ではじめて気が付いた部分など、実践に基づきより詳細に、できる限り分かりやすく解説する。
組み込み実践の第一歩として、マザーボードを取り付けてみよう。サーバー向けにも対応する広いマザーボードトレイに、最もチョイスされるであろうATX規格のマザーボードを搭載してみた。予め装着された9本のスタンドオフ(うち1本はピンタイプ)に、付属の「Mounting Screw (6-32)」でネジ留め。搭載後の周辺空きスペースを計測すると、トップパネルまで約85mm、右手フロントファンまで約260mm、ボトムカバー(シュラウド)までは約45mmと、いずれも兄弟モデル「Define 7」を上回る周辺クリアランスが確保できている。このようにATX規格のマザーボードを「オープンレイアウト」で組む場合、かなり余裕をもってマウントできる事が分かった。
搭載テストにはMSI「MPG X570 GAMING PRO CARBON WIFI」を使用。広いマザーボードトレイから基板が小さく見える |
はじめから水冷構成と決めている人にとって、CPUクーラーの有効スペースはあまり気にならない数字だろう。とは言え、空冷クーラーの人気は高く、ハイエンド志向のサイドフロー型CPUクーラーを選択する人は少なくないはずだ。外寸240mmと幅が広い「Define 7 XL」は、CPUクーラーの高さ制限が185mmとされている。これだけ確保できていれば、140mm冷却ファンを搭載する大型空冷クーラーでも問題なく収められるだろう。
CPUの上空クリアランスを計測すると、公称185mmを超える空きスペースが確保できていた | なおCPUクーラーメンテナンスホールは、実測で幅約160mm、高さ約140mmだった |
ボトムレイアウトの電源ユニットを搭載してみよう。検証に用意したのは以前詳細検証を行ったFractal Design「ION+ 860P」(型番:FD-PSU-IONP-860P-BK)。140mmファンを搭載しつつ、奥行き150mmに収めた80PLUS PLATINUM認証モデルだ。
搭載方法は、2本のハンドスクリューで固定されている枠を一旦外し、インチネジ4本で電源ユニットを固定。枠を元の位置に戻せばインストールは完了する。シャーシ設置面にはゴムのクッションも装着されており、金属同士が擦れて傷が付くという事はない。
ハンドスクリューで固定されている枠を外し、電源ユニットを背面からネジ留め。プラグインタイプなら予め使用するケーブルを接続しておこう |
なお電源ユニット搭載スペースは、ケージタイプの2.5/3.5インチ共用シャドウベイ2つと場所を分け合い、標準状態(2台マウント時)では奥行き277mmまでが空きスペース。検証で使用した「ION+ 860P」はある程度空間を確保した状態でマウントができている。
大型筐体とあって本格水冷が似合う「Define 7 XL」だが、本稿ではFractal Designのオールインワン型水冷ユニット「Celsius S36」(型番:FD-WCU-CELSIUS-S36-BK)を用意した。120mmファン「Dynamic X2 GP-12 PWM」を3基搭載する360mmサイズラジエター採用の上位機種。静音性の高さと冷却性能のバランスに定評のモデルだ。
なおラジエターの搭載場所だが、フロント標準装備の140mmファン2基をそのまま生かすべく、トップ面をチョイスした。そもそも内部容積が広いだけに、場合によってはオールインワン型水冷ユニットのチューブ長が足りないケースもあるだろう。一般的にカスタマイズができない簡易水冷のラジエター固定場所は、必然的にトップまたはリアを選択する事になるだろう。
シャーシ側トップ面のステイに360mmサイズラジエターを固定。しっかりと固定できていれば、必ずしも全てのネジを留める必要はないが、スリットタイプだけに、どこかで全てのネジ穴は露出できる |
ラジエターとウォーターブロックを固定し、配線も済ませておこう。なお「Celsius S36」のチューブ長は400mmだが、ラジエターをトップ面に固定するとチューブが余るという事はなかった |