エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.842
2020.03.21 更新
文:撮影/松野 将太・取材/tawashi
AMD「Ryzen 5 3500」 市場想定売価税抜14,680円(2020年2月22日発売) 製品情報(日本AMD株式会社) |
ファーストレビューでも触れているが、今一度「Ryzen 5 3500」についておさらいしておこう。「Ryzen 5 3500」は、TSMCの7nmプロセスで製造される第3世代Ryzen(コードネーム:Matisse)のミドルクラスモデル。前世代では4コア/8スレッドだったスレッド構成を6コア/6スレッドに変更し、物理コアを増量しているのが特徴だ。定格クロックは3.6GHz、最大ブーストクロックは4.1GHzと標準的だが、一方で16MBのL3キャッシュを備えるといったアピールポイントがある。Socket AM4に対応しており、基本的にはX570やB450チップセット搭載マザーボードで利用することになるだろう。
「CPU-Z」で取得した「Ryzen 5 3500」の情報 |
レビュー時のテスト結果では、価格的にも性能的にも直接の競合となるIntelのミドルCPU「Core i5-9400F」と拮抗するパフォーマンスを発揮した。特に、およそ2倍のキャッシュ容量がポイントで、キャッシュが効く場面ではその利点を最大限に生かせる。それでいて実売価格は税抜15,000円以下と、「Core i5-9400F」よりも安価なので、予算が潤沢でない場合やコストパフォーマンスを重視するユーザーにとっては魅力的なチョイスになりえるわけだ。では、「Ryzen 5 3500」を使った自作PC、あるいはBTO PCのおすすめ構成はどのようなものになるだろうか?
コスパ自作ではすっかりおなじみのB450マザーボード。X570マザーボードは性能面・機能面ともに優れているが、そのぶん高価なのがネックとなる |
基本的には、B450マザーボードやミドルクラス以下のGPUといった比較的廉価なパーツをチョイスするのが王道になるのは間違いないだろう。10,000円程度から購入できるB450マザーは、コスパ重視のPCにおいて鉄板と言える人気を誇り、PCI-Express4.0 SSDといったハイエンドパーツの搭載にこだわらず、定格運用やライトなオーバークロックに留めるのであれば、これで十分事足りてしまう。
GPUはフルHD解像度のゲーミングをターゲットにした「Radeon RX 5500 XT」などを用いることで、価格的にもバランスを取りやすい。100,000円以下でもかなりしっかりしたゲーミングPCが組める |
「Ryzen 5 3500」は内蔵GPUを持たないため、グラフィックスカードの搭載は必須となる。ゲーミングやクリエイティブを視野に入れた自作やBTO構成の場合、20,000円から30,000円前後で購入可能な「Radeon RX 5500 XT」、あるいはNVIDIAの「GeForce GTX 1660」といったミドルクラスGPUを選ぶのがよさそうだ。高負荷なタイトルでは画質調整が必要な場合もあるが、フルHD解像度で多くのゲームをそつなく描画できるため、PCゲーム入門やカジュアルゲーマーには特に向いている。
メモリは容量16GBのDDR4-3200、ストレージは500GBのM.2 NVMe SSDといったパーツで堅実に固めたいところ。今ならいずれも10,000円以下で購入できるだろう。さらに電源ユニットやPCケースの価格を抑えれば、100,000円切りの自作も十分可能だ。以下に、構成例を挙げておくので、参考にしてみてほしい。
上記の構成でも一定水準の性能を備えたPCとなっているが、性能に不足を感じる場合には、X570マザーボードとPCI-Express4.0 SSDを組み合わせて爆速ストレージ環境を実現する、GPUを「Radeon RX 5700 XT」や「GeForce RTX 2060」などにアップグレードしてより高いゲーム内フレームレートを出す、データ保存用の大容量HDDを追加するといった応用も検討できる。最初の段階で予算を絞っているため、デザインが気に入ったPCケースやCPUクーラーを活用するなど、ちょっとしたアップグレードにお金を回しやすいのも、こうしたコストパフォーマンスを重視したPCの利点と言えるだろう。