エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.852
2020.04.12 更新
文:撮影/エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
定格運用なら、Ryzen 9 3950Xに対しても余力を残すZALMAN「CNPS20X」。そこでUEFI BIOSから電圧を1.450Vに固定、コア倍率を44倍(4.40GHz)に設定した状態でも検証をしてみることにした。オーバークロックで長時間負荷が掛かる環境でも、サーマルスロットリングが発生することなく、安定したパフォーマンスを発揮することができるのだろうか。
UEFI BIOSからコア電圧を1.450V、コア倍率を44倍に固定した状態でもチェックを実施 |
アイドル時(左)はもちろん、短時間の負荷なら高負荷時(右)でも全コア4.40GHzで動作 |
オーバークロックによって消費電力は約40W増加。これに伴い、高負荷時のCPU温度の範囲は、定格時の57℃~69℃から63℃~83℃へと上昇した。とはいえ、最高温度である95℃まではまだ10℃以上の余裕があり、常用レベルのオーバークロックならまったく冷却性能に問題はない。
アイドル時は冷却性能が完全に飽和しているようで、定格とほぼ同じ。一方、高負荷時はフル回転となる1,500rpm前後でほぼ張り付き、さすがに余力は残されていなかった。また騒音値は43.2dBAへと上昇するが、口径が大きく、耳障りな高周波ノイズが少ないこともあり、思ったほどうるさく感じることはなかった。
ヒートシンクのポイント別温度で、もっとも熱が低かったのは、メモリスロット側ヒートシンク上部。基本的にフレッシュな外気を取り込め、受熱ベースから遠くなるほど温度が低下する順当な結果。なお側面部分で、拡張スロット側の温度が全体的に高くなっているのは、発熱源となるグラフィックスカードに近いのが原因だと思われる。
アイドル時のサーモグラフィ結果 | 高負荷時のサーモグラフィ結果 |
またサーモグラフィの結果を見ると、高負荷時はもちろん、アイドル時でもヒートパイプ部分の温度が高く、CPUから発生した熱がヒートパイプを使い移動している様子が見て取れる。またグラフィックスカードのある側面の温度が高くなっていることは、サーモグラフィの結果からも確認できた。
ライバルは空冷最強メーカーNoctuaと公言する、ZALMANの新フラッグシップCPUクーラー「CNPS20X」。その冷却能力はまさに申し分なく、本来であれば280mm以上のラジエターを備えた水冷ユニットが推奨されているRyzen 9 3950Xに対して、定格駆動はもちろんのこと、オーバークロックにも耐えられるパフォーマンスを発揮。さらに140mmの大口径ファンを採用したことで、静音性にも十分な配慮がされていた。
このクラスの製品では同梱されることが多い、組み立てに必要な軸の長いドライバーや、アドレサブルRGBコントローラが付属しないなどやや気になるところはある。またその巨大なサイズゆえ、PCケースを選ぶ傾向にあるものの、もともとこのクラスのCPUクーラーを必要とするハイエンドユーザーであれば、いずれも大きな問題にならないだろう。
独自技術やユニークなデザイン、そして優れた冷却性能で、他社との差別化を図ってきたZALMANのCPUクーラー。そのDNAは「CNPS20X」でもシッカリと受け継がれ、冷却機器に強いZALMANの復活を感じさせてくれる製品だ。そして現在ハイエンドPCで主流になりつつある、オールインワン水冷型ユニットでもアッと驚く新製品の登場にぜひ期待をしたい。
協力:株式会社アスク
ZALMAN TECH