エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.855
2020.04.19 更新
文:撮影/松野 将太
AMD(本社:アメリカ)が2019年半ばに発表した「RDNA」アーキテクチャ採用の最新GPU「Radeon RX 5000」シリーズ。当初はハイエンドGPU「Radeon RX 5700」「Radeon RX 5700 XT」のみをリリースし、続いてミドルクラスの「Radeon RX 5500 XT」および「Radeon RX 5600 XT」を段階的に市場投入してきたが、現在では搭載カードもすっかり出揃ったことで、パフォーマンス別にかなり広い範囲をカバーできるようになっている。ユーザーとしては選択肢が増えて嬉しい限りだろう。
「Radeon RX 5000」シリーズを搭載したカード自体は複数のメーカーから販売されているが、市場で確かな存在感を放つのが、ASRock Incorporation(本社:台湾)がリリースする製品群だ。電撃的なグラフィックスカード市場への参入から丸2年ほどが経過しているが、もともと定評のあるマザーボードとの相乗効果に加え、熱心なASRockファンの後押しもあり、国内でもすっかり市場に定着した感がある。
現在、ASRock製のグラフィックスカードは、多機能化を図ったハイエンド仕様「Taichi」、ゲーミング向け「Phantom Gaming」、コストパフォーマンス重視「Challenger」と、計3つのシリーズを用意。中でも「Taichi」や「Phantom Gaming」は同社のマザーボード製品でも展開されているので、馴染み深いユーザーも多いだろう。同じGPUを搭載している製品でもわずかに性能が変わり、冷却性能や機能も異なってくるため、購入の際はしっかり吟味したいところだ。
グラフィックスカード市場への参入当初は、ゲーミング向けの「Phantom Gaming」シリーズのみをラインナップ。2年を経た現在では「Challenger」「Taichi」といった複数のシリーズを展開する |
「Taichi」は、最上位の「Radeon RX 5700 XT」のみをリリース。3連ファン仕様のクーラーや金属製バックプレート、10+1フェーズ電源回路の採用、デュアルBIOSの切り替えなど、上位シリーズらしい機能が盛り込まれている。次に「Phantom Gaming」は、ゲーミングを意識したデザインや冷却性能を両立。ミドルレンジらしいオーソドックスな機能が特徴と言える。そして「Challenger」は、すべてのモデルでデュアルファンクーラーを採用し、シンプルな機能と高いコストパフォーマンスが魅力だ。
ASRockのGPU専用ユーティリティ「ASRock Tweak」 |
ソフトウェアは、「Radeon RX 5000」シリーズを搭載するすべてのモデルが、ASRockオリジナルのオーバークロックユーティリティ「ASRock Tweak」を利用できる。OCプロファイルの適用や手動オーバークロックに加え、温度に応じたファンコントロールに対応。また、一部のLED発光機能を搭載したグラフィックスカードの場合、LEDコントロール用のユーティリティ「Polychrome Sync」にも対応する。マザーボードと連携してのカラー・パターン制御なども可能だ。
最新の「Radeon Software Adrenalin 2020 Edition」。UIが一新されたほか、「Anti-Lag」など最新の機能が盛り込まれている |
もうひとつ、GPUのソフトウェアに関して言えば、もちろんAMD純正のドライバソフトウェア「Radeon Software Adrenalin 2020 Edition」も利用できる。ゲーム関連の画質まわりの調整やスクリーンショットの撮影など、利便性の高い機能が揃っている。こちらは既にレビューを実施しているため、詳細は別記事を参照いただきたい。