エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.862
2020.05.04 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹
ここからは、OCATで計測したDirectX 12対応ゲームの平均フレームレートの結果を確認していこう。まずは人気バトルロイヤルゲーム「フォートナイト」からだ。プリセットは「最高」で、解像度はRadeon RX 5700 XTがメインターゲットに据えるWQHDを選択した。
「フォートナイト」は、全体的にCoreシリーズが優勢だが、最大でもその差は5%未満。Ryzenシリーズでも十分なパフォーマンスを発揮している。また消費電力については、CPUへの負荷がシングルスレッド処理に近いということもあり、Ryzen 9 3900とCore i9-9900K、Ryzen 7 3700XとCore i7-9700K、Ryzen 5 3500とCore i5-9400Fはそれぞれ同等レベルに収まっている。
Ryzen 9 3900Xで「フォートナイト」実行中のCPU負荷はわずか10%前後。ほとんどシングルスレッド処理と変わらない |
続いてアクションアドベンチャーゲームのリメイク版「バイオハザード RE:3」の結果もチェックしておこう。こちらもAPIはDirectX 12で、解像度はWQHDを選択した。
「フォートナイト」からは打って変わって、こちらは全体的にRyzenシリーズが優勢。特にRyzen 7 3700Xは今回のCPUの中でトップを獲得。消費電力もRyzen 9 3900XやCore i9-9900Kより一段低く、ワットパフォーマンス面では最も優秀だ。また今回最も消費電力が低かったRyzen 5 3500もCore i7-9700Kに肉薄しており、かなり健闘している。
「バイオハザード RE:3」では、CPUの負荷は概ね15~30%の間で推移。こういったアプリケーション(ゲーム)では、マルチスレッド処理を得意としているRyzenシリーズが力を発揮する |
今回は単純な性能ではなく、ワットパフォーマンスを主題にすえ、第3世代Ryzenシリーズの実力を検証してきた。もともと得意としている動画のエンコードや、レンダリングなどのマルチスレッド性能については、コア数でCore i9-9900Kを上回りながら、同等かそれ以下の消費電力に抑えられているRyzen 9 3900Xが頭一つ抜けた存在だ。
HEDT CPUのように、コア数が増えすぎてアプリケーション側の対応が必要になるということもなく、今回検証したすべてのベンチマークで安定した性能を発揮する。
また「CINEBENCH」系のシングルコアテストや、実際のゲームでは、Core i9-9900Kに匹敵する性能を発揮しながら、消費電力ではCore i7-9700Kをも下回るシーンが多い、Ryzen 7 3700Xの優秀さが光る結果。こちらはマルチスレッド系のベンチマークでもおおむねCore i9-9900Kを上回り、コストパフォーマンス的にも魅力的な存在と言えるだろう。
どうしても上位モデルに目がいってしまうが、Ryzen 5 3500も対抗となるCore i5-9400Fと比較すると、ほぼ全てのベンチマーク優位な結果。マルチスレッド処理では消費電力も低めで、コストパフォーマンスモデルとしては魅力的 |
そして今回の検証を通じて、最近のCPUは“TDP”イコール“消費電力”という単純な図式が成り立たなくなっていることも確認できた。性能だけでなくワットパフォーマンスも意識したPCを組むなら、ぜひこの記事を参考に、用途に合わせた最適なチョイスをしていただきたい。
協力:日本AMD株式会社