ATX電源ユニットを搭載してみる

次にATX電源ユニットの搭載を試みる。「ATX電源ユニット固定用ブラケット」にはシャドウベイ機能が無いため、作業はいたってシンプル。ブラケットの枠に電源ユニットを合わせ、「電源ユニット用ネジ」で固定。これを元の位置に戻せばいい。なお、搭載できる電源ユニットの長さは200mmまでとされる。

搭載テストには、以前詳細検証を行った「Edison M 750W」（型番：FD-PSU-ED1B-750W）を用意。120mmファンを搭載する奥行き160mmの80PLUS GOLD認証モデルで、主要ケーブルのみを直結式にしたセミモジュラー仕様

グラフィックスカードを搭載してみる

グラフィックスカードは2スロット占有デザインで、長さは最大295mm、幅最大125mm、厚さ最大47mmまでをサポート。ただしトップ部に240mmサイズラジエターを搭載させ、電源ユニット固定用ブラケットを「PSU Position 5」（最下段）にマウントした場合、長さは190mmまでに制限される。電源ユニットの搭載スペースは、筐体サイズ分だけ確保すればいいというワケでは無く、ケーブルが伸びる部分も考慮しなければならない。グラフィックスカードに対し、垂直（下方向）にスペースを占有する電源ユニットとは、上手に折り合いを付ける必要がある。

搭載テストにはいわゆるMini-ITXサイズのMSI「GeForce GTX 1650 AERO ITX 4G OC」（長さ170x幅111x厚さ38mm）を使用

このように、単なるスペック表だけを見てパーツ選定をすると、物理的干渉を起こし、使用できなくなる可能性がある。この手のPCケースで自作を行う場合、最も注意しなければならないポイントと言えるだろう。そんなトラブルを未然に防ぐには、詳細情報の入手が必須である事は言うまでもない。
　Fractal Designは「Era ITX」に限らず、製品サイトより詳細データが誰でも入手できるようになっている。ユーザーフレンドリーとは、組み込みやすい設計やそれに伴う最適化などの物理的要因のみならず、正確な情報の開示が重要である事が分かる。

搭載後のグラフィックスカードとフロントパネルまでの空きスペースは実測で約135mm。ミドルタワーPCケースに搭載する一般的なカードサイズの選択肢は豊富だが、組み込み易さやケーブルマネジメントを考慮すれば、あまり無茶はしない方がいい