エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.867
2020.05.11 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
CPUクーラーの有効スペースは高さ120mmまで。さらに「ドライブブラケット」に3.5インチHDDを搭載すると、高さ91mmに制限されてしまう(推奨は70mm)。空冷の選択肢はあるものの、ある程度の冷却能力を必要とするならば、やはりオールインワン型水冷ユニットがベストなチョイスだろう。なによりウォーターブロックは低く、トップ部には240mmサイズラジエターが搭載できる準備ができている。
そこで今回の搭載テストには、4月に販売が開始された「Celsius+ S24 Prisma」(型番:FD-W-2-S2402)を用意。いよいよ狭くなってきた筐体内部に組み上げていこう。
主要構成パーツが組み込まれた状態ではチューブ長400mmが若干長く感じる。ちなみに搭載できるラジエターサイズは、幅が125mmまで、厚さは冷却ファンを含め67mmまで |
チューブが若干はみ出しているが、この後「ドライブブラケット」を所定の位置に戻すため、側面から押し込むような恰好になる。グラフィックスカードへの負担も考慮しておく必要があるだろう |
搭載位置が調整できるスリットタイプのネジ穴にラジエターを固定。SFX電源ユニットを「PSU Position 5」に固定すれば、インレットに接続した中継ケーブルと冷却ファンの干渉は回避できている |
Fractal Designより開示されている、電源ユニットタイプとグラフィックスカード、ラジエターの適合表。それぞれ好みのパーツを一気に買い揃えるではなく、搭載可否をしっかりチェックしておこう |
組み込みセッションの最後は、始めに取り外した「ドライブベイブラケット」にストレージをマウントし、元の位置に戻す作業を行う。CPUソケット上空を上下に横断する「ドライブベイブラケット」には、3.5インチHDDなら1台、2.5インチSSDなら2台が搭載可能。CPUクーラーとの折り合いを付けながら、有効に活用したい。
それぞれの固定方法は背面ネジ留め式。3.5インチHDDは予め装着されているゴムブッシュを介し「3.5インチドライブ用ネジ」を使用。2.5インチSSDは「マザーボード用/2.5インチドライブ用ネジ」で固定する。いずれかをマウントした後、シャーシの上下部分に各2本のネジで「ドライブベイブラケット」をネジ留めすればいい。
3.5インチHDDは縦方向にマウント。コネクタは下向きが扱い易いだろう |
2.5インチSSDは横方向上下に2台がマウント可能。ケーブルの取り回しを考慮するなら、ショートタイプのSATAケーブルを用意するといいだろう |
もちろん内部事情を知る由もないが、やや異色とも思えるIntelとのタッグにより誕生した「Era ITX」。今さらながら、開発コンセプトはこうだ。
第9世代Coreプロセッサを軸に、2スロットデザインのグラフィックスカード、240mmサイズラジエター採用のオールインワン型水冷ユニット、そして最大4台のストレージをコンパクトな筐体に全てを詰め込む。製品サイトの紹介文によると、Fractal DesignとIntelが目指したのは、”エレガントなデザインで柔軟な機能性の両立”であり、そんな”常識を破るプロジェクト”へのチャレンジから「Era ITX」が生まれた。
確かに「Era ITX」の完成度は高く、とかくマニアックでシビアな自作派が多いミニPC市場においても、一定以上の評価は得られるだろう。組み込み後の内部の様子は「密」でありながら整然としており、決して雑然とはしていない。事前に開示されている数値を元に構成パーツを集めれば、外観デザインと同様にスマートなPCが構築できるはずだ。
ちなみに提携モデルながら、どこにもIntelのロゴは見当たらない。必要以上に飾らない、Fractal Designのデザインポリシーには、さすがのIntelも控え目にならざるを得なかった。かな?
協力:Fractal Design
株式会社アスク