エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.870
2020.05.20 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
続いて、消費電力をチェックしていこう。アイドル時は起動直後10分間放置した際の最低値を、高負荷時は「CINNEBENCH R15/20」実行時の最高値を採用している。
Core i9-9900Kと同じ14nmプロセスを採用しながら、10コア/20スレッドに対応するCore i9-10900K。消費電力はほぼTDP通り(95W→125W)約33.1W高くなった。またTDP 105WのRyzen 9シリーズを大きく上回り、消費電力については現行のコンシューマ向けCPUとしては間違いなく最大級。新しく追加された「Thermal Velocity Boost」の性能を最大限に引き出すためにも、冷却システムにはこだわりたい。
テストセッションのラストは、Core i9-10900KとCore i9-9900Kのアクティブコア数、コアクロック、メモリクロックを同じにして、コア自体の性能がどう変わったのかチェックしていこう。いずれもUEFI上で、コアクロックを3.00GHz、メモリクロックを2,666MHzに設定。またCore i9-10900Kではアクティブコア数を8コアに変更している。
Core i9-10900K(画像左)とCore i9-9900K(画像右)の「タスク マネージャー」。いずれもクロックは3.00GHzで、コア数は8コア/16スレッドで動作させた |
「CINEBENCH R15」のスコアはCore i9-10900Kの1,256cbに対して、Core i9-9900Kは1,288cbで、ほぼ同等。「Comet Lake-S」と「Coffee Lake-S Refresh」では、コア自体の性能に大きな違いはなく、コア数とクロックを引き上げることで、パフォーマンスを高めているようだ。
10コア/20スレッドのメニーコア構成に加え、「Thermal Velocity Boost」によって、最高5.30GHzの高クロック動作に対応するCore i9-10900K。マルチスレッドではCore i9-9900Kとの比較で20~25%、シングルスレッドでも多くのテストで上回り、Intelのメインストリーム向けCPUの中では間違いなく最高峰。HEDT向けであるCore Xシリーズにも手が届くパフォーマンスを発揮する。
またIntel「i225」に対応したことで、Intel Z490の多くのマザーボードが2.5ギガビットLANに対応。さらにIntel「Wi-Fi 6 AX201」による高速無線LANをサポートする製品も増え、高速ネットワークへのハードルが低くなっているのもLGA1200(Comet Lake-S)プラットフォームの大きな魅力だ。
しかし、ライバルとなるAMD Ryzen 9シリーズとの比較では、コア数の差を埋めることができておらず、マルチスレッド性能には依然として開きがある。そして、得意だったシングルスレッド性能も「ファイナルファンタジーXIV︓漆⿊のヴィランズ」や「PCMark 10」では強さを見せるが、「CINEBENCH」や「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」では差がなく、後発製品としては正直やや物足りない。
コア数を増やすため、長らく手を付けていなかったTDPを引き上げたことからも分かる通り、これ以上14nmプロセスで粘るのは限界だろう。Intelからは、そろそろ製造プロセスを微細化した新CPUの登場に強く期待したい。
協力:Intel Corporation