エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.871
2020.05.21 更新
文:松野 将太/撮影:松枝 清顕
一通り外観をチェックしたところで、いよいよ「Z490 Taichi」の性能検証に移行しよう。テスト用PCは、CPUに10コア/20スレッドの「Core i9-10900K」、GPUはASRockのRadeon RX 5700 XT搭載カード「Radeon RX 5700 XT Taichi X 8G OC+」を使用。CPUクーラーはThermaltakeの360mmラジエーター搭載オールインワン水冷「CL-W234-PL12SW-A」とした。なお、検証時のUEFIバージョンは原稿執筆時のタイミングで最新の「P1.30A」、CPUはリテール品ではなくES品であることにご留意いただきたい。
まずは、CPUを定格動作させた場合と、常用レベルの簡易的なオーバークロック時の性能と温度、消費電力を見ていこう。ベンチマークテストは「CINEBENCH R15」「CINEBENCH R20」「3DMark」の3種類で、すべてのテストが完走できるコアクロックと電圧の組み合わせを探ってみることにした。Core i9-10900Kはシングルスレッド動作時の最大ブーストクロックが5.3GHz、全コア動作時の倍率が最大4.9GHzとなるCPUだが、そもそもの倍率が非常に高いのが大きな特徴だ。そのため、今回はベンチマーク動作時の温度が90℃を超えなかった全コア動作時5.1GHzの設定をオーバークロック時のスコアとして採用している。
オーバークロックには「Intel Extreme Tuning Utility」を使用した。オールインワン水冷ユニットを使用していることもあり、全コア5.1GHz動作は倍率変更だけで安定した |
Core i9-10900Kは全コア動作時に4.9GHzで動作するため、OC時との差は200MHzほど。「CINEBENCH R15」のマルチスレッドテストでは、定格時が2,600cb、OC時が2,704cbということで、全コア5GHz動作で2,100cb前後のスコアだった前世代最上位SKU「Core i9-9900KS」を定格であっさり超えている。コア数増加の恩恵が分かりやすく感じられる結果と言っていいだろう。シングルテストは最大5.3GHz近くまでクロックが上昇するため、こちらも高めの230cb前後のスコアが出た。シングルスレッド動作時はどちらも5.3GHz設定としたため、スコアはほぼ変わらない。
あわせて温度も確認してみよう。CINEBENCH R20を3回連続で実行した際の温度を「HWiNFO 64」でモニタリングしてグラフ化したが、簡易的なオーバークロックではCPU動作時の温度が10℃以上も上昇してしまう。360mmラジエーターのオールインワン水冷ユニットでは冷やしきれるが、やはり空冷動作は難しそうだ。
参考までに、CINEBENCH R20連続実行時のVRM部の温度を「Flir One」で見てみたが、VRMヒートシンク部の温度は30~40℃前後で、実際に触ってみても多少温かさを感じるレベルに留まっていた。「OCCT」のような負荷テストでも激しく温度が上昇することはなく、冷却能力に関しては特筆モノ。トリプルファンクーラーを搭載した成果が現れている。騒音に関しても、水冷クーラーのポンプのほうが遥かに耳に届くため、体感ではほとんど感じられなかった。