エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.874
2020.05.27 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
続いて、Core i9-10900Kのオーバークロックを試していこう。今回は「UEFI BIOS」に用意されている「Advanced Profile」を使ったオーバークロックと、コア倍率とコア電圧のみを調整する簡易的な手動チューニングの2種類の方法を試してみることにした。
「Tweaker」タブにある「CPU Upgrade」から「Advanced Profile」を選択 |
アイドル時は800MHzで変わらないが、高負荷時はマルチスレッド処理時でも最高5.20GHzを記録 |
最高クロックは定格と同じ5.30GHz | 「CINEBENCH」系のマルチコアテストなど、全てのコアに負荷がかかる場合は5.10GHzで動作 |
「Advanced Profile」によるオーバークロックでは、シングルスレッド処理時は定格と同じ5.30GHzだが、複数のコアに負荷が掛かる場合が最高5.20GHz、全コアに負荷がかかる場合でも5.10GHzで動作し、定格から200~300MHzクロックが上昇した。
「UEFI BIOS」からコア倍率とコア電圧のみ設定する、簡易的な手動オーバークロックも試してみることにした |
コア電圧1.50V、コア倍率54倍でもOSの起動は可能 | 安定動作できるのはコア電圧1.425V、コア倍率52倍までだった |
手動でオーバークロックした場合でもアイドル時は800MHzまでクロックが低下 | マルチスレッド処理時は全コア5.20GHzで動作 |
また手動オーバークロックでは、コア電圧1.50V、コアクロック5.40GHzでOSを起動することができた。ただし「CINEBENCH R20」や「OCCT 5.5.7」を動かすとフリーズしてしまい、動作は安定しない。そこで徐々にクロックや電圧を下げて調整を行ったところコア電圧1.425V、コアクロック5.20GHzならベンチマーク、ストレステストとも完走できた。
Core i9-10900Kのオーバークロックによって、どの程度パフォーマンスに変化があるのかチェックしていこう |
次にオーバークロックの効果と、その際の消費電力を確認していこう。なおベンチマークソフトは「CINEBENCH R15」と「CINEBENCH R20」を使用し、アイドル時の消費電力は起動直後10分間放置した際の最低値、高負荷時はいずれも消費電力が高かった「CINEBENCH R20」実行中の最高値を採用している。
「CINEBENCH R15」の結果を確認すると、シングルコアテストは「Advanced Profile」ではその差は1%未満で誤差の範囲。「手動オーバークロック」では約2%だがスコアが高くなった。これは、定格や「Advanced Profile」では、テスト時のクロックが5.00GHz~5.30GHzの間で頻繁に変動するのに対して、「手動オーバークロック」では5.20GHzから変動しないためだと思われる。またマルチコアテストは「Advanced Profile」で約3%、「手動オーバークロック」では約5%スコアが向上し、ほぼクロック通りの差になった。
「CINEBENCH R20」では、シングルコアテストでやや差が縮まるもののスコアの傾向は「CINEBENCH R15」と同じ。やはりマルチコアテストではクロックに従いスコアが上昇しており、動画のエンコードや大規模レンダリングなど、少しでもパフォーマンスを上げたい場合には、オーバークロックは有効な手段になるだろう。
「手動オーバークロック」では、コア電圧が変動しないためアイドル時の消費電力はやや高め。また高負荷時は「Advanced Profile」で60W強、「手動オーバークロック」では120W近くも上昇するかなり強烈な結果。最大出力1,440Aの強力な電源回路のおかげで、不安定な挙動を示すことはなかったが、Core i9-10900Kでのオーバークロックを検討しているなら、電源回路を重視したモデル選択が必要だ。