エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.875
2020.05.29 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
外装部分のチェックを終えたところで、PCケースの善し悪しを左右する内部構造に迫って行こう。ひと昔前の大型PCケースと言えば、内部容積が広い事が唯一の取り柄で、比較的大味な製品という印象があった。しかし近頃のフルタワークラスのPCケースは、内部容積を無駄なく使うべく、独自の設計によるギミックを多数詰め込んだ製品が多い。当然「View 51 TG ARGB」も例外ではないだろう。
メインとなる「左エリア」 |
一般的に裏配線スペースに該当する「右エリア」 |
横幅が広いがゆえに、大口径ファンが搭載できる点は大いなるメリットと言えるだろう。大きなインペラは、低回転でも大風量を生み出す事ができるため、静音性を保ちながら冷却性能にも期待ができる。さらに本格水冷を想定しての設計とあって、ラジエター設置箇所も豊富だ。ここからは「View 51 TG ARGB」を選択する決め手となり得る、冷却ファンレイアウトを解説しよう。
製品資料抜粋のエアフローレイアウト。強化ガラス製パネルで密閉状態になりがちだが、風の通り道はしっかりと確保できている事がアピールされている |
強化ガラス越しに透けて見える2基の200mm口径ファンの存在は、「View 51 TG ARGB」の性格を決定付けている。大風量を生み出す事は誰の目にも明らかだが、アドレサブルRGBファンであるため、イルミネーションを楽しみたいニーズにも応えている。
なおフロントパネル部のシャーシ面には、スリットタイプのネジ穴を設けたブラケットが備わり、120/140mmファン3基にも換装が可能。さらにラジエターは280/360mmサイズまでをサポートする。
標準装備の200mmファンは、回転数600rpm、騒音値24dBA。ゆったり回転し、大きな風量を得ることが出来る |
リア部には120mmアドレサブルRGBファン(1,000rpm/27.2dBA)が1基標準で装備される。フロントファン同様、一体感のあるイルミネーションが構築できるドレスアップ要素の色濃い付属品だ。一方で大型筐体としては控え目な120mmファンというあたり、冷却面でやや物足りなさを感じる人がいるかもしれない。
これはセパレート設計のデュアルチャンバー構造であるがゆえの仕様。左エリアから割り当てられる最大サイズが120mmというワケだ。
左エリアの室内幅から、マザーボードのバックパネル用開口部を差し引くと、残りが120mmmファン搭載スペースという計算。なおマニュアルによると、ラジエターの搭載は想定されていない |
標準装備されるアドレサブルRGBファンは、対応マザーボード各社のLEDとの同期および、対応マザーボードのソフトウェアから制御ができる。さらに非対応マザーボードを搭載した場合でも「LEDコントロールスイッチ」を備えることで、独自にライティングモードの切り替えにも対応している。
アドレサブルRGBファンは、ASUS、MSI、ASRock、GIGABYTE各社のヘッダに接続する事で同期が可能 |
「LEDコントロールスイッチ」を3秒長押しする事で制御の切り替えが完了。「Wave Mode」「Flow Mode」から「Light Off」まで、カラー変更を合わせると実に27モードから好みの設定が選べる事になる。
「LEDコントロールスイッチ」を備える事で、アドレサブルRGBファン非対応マザーボードとの組み合わせでも、ライティングコントロールを楽しむ事ができるというワケだ |
なぜかThermaltakeの製品情報や、付属マニュアルに記載が無いものの、重要な役割を果たしているのが「5V RGB Switch Board」だ。右エリアのCPUクーラーメンテナンスホール左横に装着済みの小さな基板は、2019年4月に検証を行ったThermaltake「Level 20 MT ARGB」にも装備されていた。
標準装備されるアドレサブルRGBファン3基が接続されており、基板を経由してアドレス指定可能な各マザーボードのコネクタ端子に接続。3基一括でライティングの同期を行う仕掛け。さらにフロントアクセスポートの「LEDコントロールスイッチ」にも接続済みで、外部からの切り替えは、この基板がなければ実現できない。
なおSATA電源ケーブルが接続されており、動作には電源ユニットから電力を供給する必要がある |