エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.878
2020.06.09 更新
文:松野 将太/撮影:松枝 清顕
続いて、3Dグラフィックス系のテストである「3DMark」の結果を見てみよう。今回は小型PCでの運用を想定した「Radeon RX 5700」での計測としているが、いずれもゲーミングPCとして問題なく活躍できるレベルのスコアが出ている。ただし、CPUオーバークロックによる恩恵は誤差レベルに留まり、場合によっては定格を下回るスコアとなってしまう点には注意。Mini-ITXマザーの場合はシステム全体の温度の問題もあるため、ハイエンドCPUのオーバークロックはそれほど得策ではない。
CPU温度も見てみると、「Time Spy Extreme」動作時のCPU温度は、定格で最大約70℃、OC時で最大約80℃まで上昇してしまう。大きく数値が跳ね上がる起動時とCPU物理演算テスト時を除けば、どちらも30~50℃程度に留まるものの、小型ケースに組み込む場合にどのような冷却システムを組むかは悩みどころだろう。
セッションの最後に、消費電力の違いもチェックしてみる。機能を絞ったMini-ITXマザーボードということもあり、アイドル時の消費電力は低めなのが嬉しい。なお、「Core i9-10900K」と「Radeon RX 5700」の組み合わせにおいては、3DMark実行時でもCPU物理演算テストにもっとも電力を使うため、どのテストでも最大消費電力にあまり違いは出ていない。いずれにせよ、「Z490GTN」が最上位CPUも乗りこなせるポテンシャルを備えていることは間違いない。
「Z490GTN」は、Mini-ITXフォームファクタのコンパクトな基板に機能を厳選し、コストパフォーマンスと性能を両立した秀作マザーボードだ。すでに述べているが、近年のMini-ITXマザーボードは小型ながら機能を詰め込んだハイエンドモデルが増えたことで、スペックの充実に比例して全体的に価格も高くなりがちな傾向があった。本製品のようなやや毛色の異なる選択肢があることで、製品選びにも幅ができる点は素直に歓迎すべきだろう。
シンプルさが特徴ではあるのだが、一般的な自作PCを組み上げるのに必要な水準の性能・機能はしっかり揃っている。M.2スロットや拡張スロットが1つである点さえ気にならなければ、Mini-ITXでも不自由する点は多くないだろう。エントリーからハイエンドまで、多くの小型PCに採用できる非常に汎用性の高いモデルと言えるのではないだろうか。
協力:BIOSTAR Microtech International
株式会社アユート