エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.888
2020.07.11 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹/撮影:pepe
ここからは各種ベンチマークテストを使い、EPYC 7742のパフォーマンス確認していく。まずは定番の3Dレンダリングベンチマークソフト「CINEBENCH R15」のスコアからチェックしていこう。
シングルコアテストでは、Ryzen Threadripperシリーズのようにブースト機能が有効にならず、「G242-Z10」では1.50GHz前後でクロックが頭打ち。そのため今回のCPUの中では唯一100cbを下回る低調なスコア。一方マルチコアテストでは、コアクロックが2.50GHz前後まで上昇。全コア3.00GHz駆動の32コアCPUであるRyzen Threadripper 2990WXよりも2割以上も高いスコアを記録した。ただし、64コアで、短時間ならクロックが大幅に引き上げられるRyzen Threadripper 3990Xとの差は4割弱とかなり大きい。
続いて「CINEBENCH R15」よりテスト時間が長い、マルチスレッド向け3Dレンダリングベンチマークソフト「CINEBENCH R20」のスコアをチェックしよう。
やはりシングルコアテストは、Ryzen Threadripperシリーズの2分の1以下で、ブースト機能の効き方がコンシューマ向けCPUとは異なっているようだ。またマルチコアテストでは、負荷の掛かる時間が長く、Ryzen Threadripperシリーズの短時間ブースト機能が効かなくなるため、Ryzen Threadripper 2990WXとの比較では約4割も高速。Ryzen Threadripper 3990Xとの差も約3割へと縮まった。
CPUを使ったフォトレンダリング処理性能を測定できる「V-Ray Benchmark」の結果も確認しておこう。
こちらは処理時間が1分間と非常に短いこともあり、Ryzen Threadripper 3990Xの約5割と振るわない。ただしRyzen Threadripper 2990WXとの比較では4割近くも高速で、動作クロックは低くてもコア数が2倍になった影響はかなり大きいようだ。
ここからは、総合ベンチマークテスト「Sandra 20/20」のスコアを確認していこう。なおCPU関連のテストは、「プロセッサの性能」と「マルチメディア処理」、メモリ関連のテストは「メモリの帯域」と「メモリのレイテンシ」を選択している。
「CINEBENCH R20」よりもさらにテスト時間が長いこともあり、Ryzen Threadripper 3990Xとの差は「プロセッサの性能」「マルチメディア処理」とも2割弱で、ほぼクロック通りの差に収まった。またRyzen Threadripper 2990WXとの比較では、「プロセッサの性能」で約2倍、「マルチメディア処理」では3倍に近く、Zen 2アーキテクチャを採用したことによるメリットも大きくスコアに表れている。
クアッドチャネルのRyzen Threadripperシリーズはいずれも約60GB/sec前後で、コンシューマ向けプラットフォームでは最高クラス。ただし、8チャネルに対応する「G242-Z10」では、その約2倍となる120GB/sec以上という圧倒的な帯域幅を記録。大規模なマルチスレッド処理で、ボトルネックになる可能性が高いメモリ帯域は十分に確保されている。
またメモリレイテンシについてもRyzen Threadripper 3990Xほどではないが、Ryzen Threadripper 2990WXからは2割以上も削減され、やはりZen 2アーキテクチャを採用しているメリットは大きいようだ。