エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.892
2020.07.22 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
続いて3Dグラフィックス系ベンチマークの大定番「3DMark」を動作させ、オーバークロックの影響を見ていく。基本的にはグラフィックスカードの性能に左右されるテストだが、CPUの性能向上がどのように結果に現れるだろうか。
まずはDirect X12世代の4Kテスト「Time Spy Extreme」から。結果から言えば、総合スコアはいずれも誤差の範囲内で、それほどオーバークロックによるパフォーマンスアップは感じられない。ただし「CPU score」ではしっかりと差がついており、CPUがボトルネックになるような環境であれば、オーバークロックにより状況が変わるかもしれない。
Direct X11世代の4Kテストである「Fire Strike Ultra」でも、結果は同じようだ。総合スコアはほぼ変わらないものの、CPUの処理能力が影響するPhysics scoreでは有意な差がついており、確実にCPU性能は上積みできている。実際に効果を実感できるかは、CPU性能が活きるタスク次第というワケだ。
それでは最後に、オーバークロックによりどの程度消費電力が変わるかを見ていこう。アイドル時は10分間何もせず放置した際の数値、高負荷時の消費電力は「3DMark Time Spy Extreme」実行時の数値だ。それぞれワットチェッカーを使用して計測している。
CINEBENCH系テストの結果から分かるように、それなりにクロックが上昇しているにも関わらず、結果はほとんど変わりなし。アイドル時と高負荷時ともに、10Wほど上積みしたのみに留まった。Ryzen 3000XTシリーズ自体のTDPが従来から据え置かれたということもあり、オーバークロックによる消費電力増を気にしすぎる必要はなさそうだ。
ミドルレンジ向けのチップセットを搭載したモデルなのに、ここまでの装備が必要なのか、と考える向きもあるだろう。ハイエンド顔負けな16フェーズの電源回路や、それに負けない大掛かりな冷却機構。ヒートシンクを備えたPCI-Express4.0対応のトリプルM.2スロットに加え、強力なネットワークに高音質オーディオと、いずれもハイグレードなマシンを構築できる機能が揃っている。
もちろん上位のAMD X570搭載マザーボードに目を移せば、さらに機能が充実したモデルは珍しくない。しかしマルチGPUや10ギガビットLANのような、導入のグレードが高い機能が不要であるならば、にわかに「B550 AORUS MASTER」の存在感が際立ってくる。
過剰な装備はオミットしつつ、2.5ギガビットLANやWi-Fi 6など、比較的手の届きやすい最新トレンドは網羅。そして選りすぐったコンポーネントによる優れた信頼性は、オーバークロックによる遊べる要素もプラスしてくれる。
話題の機能を揃えつつ、CPUのポテンシャルを引き出す実力を備えたマザーボード。あと一息のパフォーマンスアップが望まれている最新Ryzen 3000XTシリーズにとって、「B550 AORUS MASTER」は最良のパートナーになれるかもしれない。
協力:GIGABYTE TECHNOLOGY