エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.899
2020.08.10 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
最後に消費電力を確認しておこう。アイドル時は起動直後10分間放置した際の最低値を、高負荷時は「CINNEBENCH R15/20」実行時の最高値を採用している。
省電力機能が有効になるアイドル時は、いずれも60W後半でほぼ横並び。一方、高負荷時はRyzen 9 3900XやRyzen 9 3900XTが245W前後まで上昇するのに対して、Ryzen 9 3900は175.8Wまでしか上がらず、約75Wの差がついた。性能差が約10%ということを考えると、Ryzen 9 3900のワットパフォーマンスはとても優秀だ。
TDP 65Wでは初の12コアCPUになるRyzen 9 3900。Ryzen 9 3900Xからはブーストクロックが300MHz、ベースクロックは700MHzも引き下げられており、マルチスレッド性能についてはおおむね10%のビハインドがある。とは言え、8コアや10コアのCPUに対しては、コア数のアドバンテージは確実にあり、現行のTDP 65W CPUでは間違いなく最高峰のパフォーマンスを発揮する。
また3Dグラフィックス性能が重要になるゲームや、シングルスレッド性能が重要な「PCMark」のような処理であればその差はごくわずか。実際の運用では、Ryzen 9 3900XやRyzen 9 3900XTとの違いを感じることはほとんどないだろう。
一方、消費電力は約75Wと大幅に低下、さらに発熱も「Wraith Spire」で冷却ができるまでに抑えられていた。ワットパフォーマンスを重視する人や、コンパクトPCで発熱や消費電力の面からRyzen 9 3900XやRyzen 9 3900XTの導入をためらっていた人には、まさに待望のCPUになるだろう。
協力:日本AMD株式会社