エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.903
2020.08.21 更新
文:撮影・こまめ
「Modern 14 B4M」は、公式には”ビジネス・クリエイターノートPC”という位置付けだ。そこでクリエイター向けソフトとしては定番の「Adobe Photoshop 2020」のベンチマークテストを行なった。テストには「PugetBench V0.8 BETA for Photoshop」を利用している。
APUが非常に高性能でメモリも16GBあるので、ちょっとした加工であれば問題なく利用できるだろう。シングルチャネルの標準構成では、「Creator Center」のクリエーターモードを有効にすることでパフォーマンスが微増している。少しでも快適に利用したいのであれば、クリエーターモードを有効にしておくといい。16GB+16GBのデュアルチャネル構成にすると、ベンチマークテストの結果は向上する。メモリ容量が増えれば動作も軽くなるので、Photoshopを利用するなら32GBに増設した上でクリエーターモードを有効活用したい。
RAW画像の現像でよく使われる「Adobe Phoshop Lightroom Classic」についても同様のテストを行なった。ただしクリエーターモードについては時間の都合上検証できなかったため、16GB構成と16GB+16GB構成の違いについてのみ解説する。
ソフト操作時のレスポンスと各種フィルタの処理速度を表わす「Active Tasks Score」は、メモリ構成ではほとんど変わらなかった。しかし画像の読み込みや出力の快適さを表わす「Passive Tasks Score」は16GB+16GB構成の方が高いスコアが出ている。ただしこれはデュアルチャネルの効果というよりも、メモリ容量が増えたことでファイル処理が高速化されたためだろう。
バッテリー駆動時間は公開されていないため、独自に駆動時間の計測を行なった。テストではWindows 10の電源プランを「バランス」に、電源モードを「より良いバッテリー」に、「MSI Creator Center 2.0」の「ユーザーシナリオ」を「Balance」に変更した状態で「BBench」(10秒ごとのキー入力と60秒ごとのWeb巡回を有効)を利用している。
テスト開始から9時間40分でバッテリ残量が5%に達し、休止状態へ移行した。最近のモバイルノートPCとしては長くはないものの、丸1日は問題なく使い続けられるだろう。バッテリー切れが心配なら、電源アダプタを一緒に持ち歩くといい。
ベンチマーク結果をご覧いただくとおわかりのとおり、「Modern 14 B4M」は軽量コンパクトでリーズナブルながらも素晴らしいパフォーマンスを発揮している。今回試用したのはRyzen 5 4500U搭載モデルだが、AMD以外のパーツ構成で似たような性能のスペックを挙げるならCore i7-9750H+GeForce MX250あたりと考えていいだろう。上位のRyzen 7 4700U搭載モデルであれば、さらに高性能だ。Ryzen 4000 シリーズ モバイル・プロセッサの登場により、インテル製CPU搭載のスタンダードノートPCおよびモバイルノートPCはすべて陳腐化したと言ってもいい。
だが、標準構成ではメモリが16GB×1のシングルチャネルである点が気になる。8GB×2構成のほうが高いパフォーマンスを発揮できることを考えれば、16GB×1ではないほうが良かったのではないだろうか。おそらくコストとの兼ね合いもあるはずだが、メモリを増設したことがないユーザにとっては最初からデュアルチャネルで動作するモデルがあったほうがありがたいに違いない。
とは言え標準構成のままでもパフォーマンスは高く、その上筐体は高品質だ。なにより、ハイパフォーマンスPCとしては値段が手頃な点がうれしい。ノートPCの購入を検討している方は、まず一度このモデルからチェックしていただきたい。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社