エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.906
2020.09.04 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
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メモリを取り付ける際にはCPUクーラーのファンだけでなく、2.5インチドライブベイも取り外す必要がある。少々手間はかかるが、必要な工具はドライバー1本のみ |
「Mini PC PB60G」に標準装備されるメモリはDDR4-2400 SO-DIMM 8GBx1本で、その動作はシングルチャネルになる。しかし、最近のメインストリーム向けCPUは、2枚のメモリに同時にアクセスすることで、メモリ帯域を2倍に拡張するデュアルチャネルに対応する。そこで、ベンチマークセッションの締めくくりとして、8GBのメモリを1枚増設して、デュアルチャネル動作させた場合のパフォーマンスを検証しておこう。なお今回は機材の関係でDDR4-2666動作のSanMax「SMD4-S16G48M-26V-D」(うち1枚を使用)を増設しているが、動作に問題はなかった。
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まず「CINEBENCH R20」だが、シングルコアテストは全く同じ。マルチコアテストはわずかにスコアが上がっているが、その差は1%未満。ちなみにグラフにはないが「CINEBENCH R15」でも確認したところ結果は同様。「CINEBENCH」系のベンチマークでは、デュアルチャネルの効果はほとんどないようだ。
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続いて内蔵グラフィックス機能を使用した場合の「Time Spy」のスコアを確認すると、Graphics scoreが約15%、CPU scoreは約37%と大幅にスコアが上昇した。内蔵グラフィックス機能を使用する場合、メインメモリの一部をビデオメモリとして割り当てるため、メモリの帯域不足がボトルネックになるようだ。
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最後にGPUモジュールを搭載した場合の「Time Spy」のスコアも確認しておこう。グラフィックス関連のテストはGeForce GTX 1650で処理されるため、Graphics scoreに変化はなし。ただしCPU scoreでは約9%パフォーマンスが上昇した。このことから、GPUモジュールを使用する場合でも、メモリは増設したほうがいいだろう。
数あるミニPCの中でも珍しい、合体モジュールを採用する「Mini PC PB60G」。使用しているGPUは、Turingアーキテクチャの中では最もローエンドのGeForce GTX 1650だが、その効果は絶大。内蔵GPUとのパフォーマンス差は最大で10倍に達し、動画の視聴やオフィスアプリケーション、Webブラウジングなどが限界だったグラフィックス性能を、一気にゲーミングPCのレベルまで引き上げてくれる。
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またCPUとGPUを分離し、それぞれに専用クーラーを搭載したことで冷却性能も良好。ミニPCやディスクリートGPUを搭載したノートPCにありがちな、サーマルスロットリングによる性能低下や騒音の心配がないのも「Mini PC PB60G」の大きなメリットだ。
さらにツールレスの着脱機構も秀逸。GPUモジュールは簡単に着脱できることから、家では装着した状態でゲーミングPCとして。仕事用に持ち運ぶ場合はGPUモジュールを外してビジネスPCとして使用すると言った、これまでにはない新たな使い方ができそうだ。
協力:ASUS JAPAN株式会社