エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.910
2020.09.18 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
ミニPCの主要な悩みどころとして挙げられるのは、狭小な筐体を採用するがゆえの熱処理の難しさだ。高い負荷がかかった際に、はたして「PN50-BBR026MD」はどのように発熱に対処していたのか。ベンチマーク中の挙動をCPU温度から読み解きつつ、合わせて動作中の消費電力もチェックしておこう。
高負荷時の温度は、「3DMark」の「Night Raid」プリセットを動作させた際の数値だ。テスト中の温度は最大96℃であり、これはRyzen 5 4500Uに設定された最大温度(105℃)の範囲にしっかり収まっている。動作音が目立たない静音設計というハンデを背負っていながら、十分に熱処理が間に合っているようだ。
そしてシステムの消費電力は、さすが「Ryzen 4000シリーズ モバイル・プロセッサー」というエコ仕様。負荷がかかった場合も通常のデスクトップPCのアイドル時程度の消費電力しかなく、省電力動作時は10W以内に収まっていた。省電力性能を重視しつつパフォーマンスも欲しいという、相反するニーズに応えてくれる。
ここしばらくでミニPCというカテゴリは、市場における存在感を急速に高めつつある。それも搭載CPUの性能向上により、現実的に“使える”モデルが多くリリースされるようになったためだ。注目作になると初回ロットが早々に完売するなど、以前では想像できなかった光景が当たり前に見られるようになった。
そして「Ryzen 4000シリーズ モバイル・プロセッサー」のデスクトップ分野への進出が、その潮流を決定付けるかもしれない。最新のアーキテクチャが実現する、まさしくデスクトップ顔負けのハイパフォーマンス。そこへ中量級ゲームを快適に遊べるグラフィックス性能、前世代から大きく改善した省電力性能が加わり、このサイズ感からは想像できないほど高性能なマシンが出来上がった。
そしてサイズ感の話をするなら、この大きさで最大級の拡張性とインターフェイス、周辺機能を詰め込んだ、「Mini PC PN50」の技アリ設計がお見事だ。Ryzenの性能を引き出す最大3,200MHz動作のメモリや、デュアルストレージが組み込める点。さらに最大4系統の4K画面を出力できたり、Wi-Fi 6にも対応する最新のネットワーク機能を備えていたりと、あらゆる面で隙がない。
なお、将来的に楽しみな要素として、Ryzen 7 4800U/Ryzen 7 4700Uを搭載したバリエーションの存在がある。具体的なスケジュールは不明ながら、国内向けの取り扱い予定もあるとのこと。いずれ登場するであろう、よりハイパフォーマンスな上位モデルにも期待したい。
協力:ASUS JAPAN株式会社