エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.915
2020.09.27 更新
文:/撮影・pepe
最後のセッションでは「G34WQC」のゲーミング性能を検証していこう。検証環境はIntel Z490マザーボードに、第10世代のIntel Core i9-10900K、DDR4-3200MHz 16GB(8GBx2)、GeForce RTX 2080 Tiを搭載している。
最初はリフレッシュレートの違いを体感するために、レースゲーム「Assetto Corsa」のリプレイを使用し、リフレッシュレート60Hz/100Hz/144Hzそれぞれの違いを比較する。テストではディスプレイ同期を有効化するとともに、デジタルスチルカメラのスーパースローモーションにより画面を直接撮影している。
リフレッシュレートが高くなれば、その滑らかさは誰が見ても明らかだ。実際の環境により状況は異なるが、特にハイスピードなゲームタイトルで高リフレッシュレートが要求される最大の理由はここにある。
さらにリフレッシュレート60Hzと144Hzを横並びで比較すると、約2倍となる書き換え回数の違いから、60Hzでは実際の描画よりも遠く離れた場所に残像が残っており、輪郭がぼやけて不鮮明な描画に見えてしまう。高リフレッシュレートはゲーマー向けを謳う場合がほとんどだが、残像感の低減やフリッカーフリーによるチラつきも防止され、長時間の使用でも目に優しいというゲーム用途以外にも有効なメリットがある。
続いてディスプレイ同期を無効にすると、どのような影響がでるかを見ていこう。先ほど同様に、テストにはレースゲーム「Assetto Corsa」のリプレイを使用し、リフレッシュレートはいずれも144Hzに設定。デジタルスチルカメラのスーパースローモーションにより、画面を直接撮影している。
ディスプレイ同期OFFにすると、今まで問題なかった描画が水平方向にせん断されたようなズレが発生していることが分かる。これが書き換え中の画像と書き換え前の画像が同時に表示されるティアリング現象だ。画面が大きいだけに、一瞬であってもその不自然なズレは画面全体で認識できてしまうため、ディスプレイ同期は積極的にONにしたいところだ。
AMD環境では「RADEON設定」から、NVIDIA環境では「NVIDIAコントロールパネル」からON/OFFが設定できる。なおOSDから「Freesync Premium」を直接無効にすることもできるが、その際は設定項目自体が表示されなくなるため注意が必要だ |
続いて「Overdrive」の設定を変えることで、残像感にどのような変化があるか確認する。OSDのデフォルトは「Balance」に設定されているが、「Picture Quality」/「Balance」/「Speed」それぞれの違いを「Blur Busters UFO Motion Test」で確認してみよう。リフレッシュレートは144Hzに設定し、その際の映像をデジタルスチルカメラのスーパースローモーションで直接撮影している。
「Overdrive」については設定を「Speed」とすることで、僅かではあるが全体的に像感が抑えられている。今回の「Blur Busters UFO Motion Test」を使用したテストでは画質の低下や不具合も特に見受けられないため、実際の使用で問題が無ければ設定を「Speed」とする方がより低残像でゲームをプレイできるだろう。
モーションブラーを軽減しFPSゲームなどの照準を合わせやすくする「Aim Stabilizer」の効果を確認しよう。「Aim Stabilizer」を使用する際は、OSDメニューよりディスプレイ同期「Freesync Premium」をOFFにする必要があるので注意が必要だ。テストではリフレッシュレートを144Hz、「Overdrive」値を「Balance」に設定し、「Blur Busters UFO Motion Test」で確認、先ほど同様にデジタルスチルカメラのスーパースローモーションで直接撮影している。
「Aim Stabilizer」を有効にすると液晶全体の輝度が下がるが、これはバックライトの強制点滅によるものだ。「モーションブラー」低減機能と呼ばれるのもは黒フレームが挿入される場合が多いが、「G34WQC」では赤フレームによってモーションブラーを軽減させており、赤フレームの直後に強いシアン色が表示されているのも確認できる。
「Aim Stabilizer」により暗転した瞬間の残像は見えなくなるため、肉眼では残像感が減ったように見える。この赤フレームの挿入直後に強いシアン色が確認できるが、その効果は一瞬のため「輝度が下がった」以外の印象(“赤っぽい”や“シアンっぽい”)を受けることはないが、明転した際のシアン色が強いため、背景色がホワイトに近い部分では一瞬白飛びのような現象が起こっているようにも見える。ディスプレイ同期とは排他利用となるため、実際の環境やプレイスタイルに合わせて使うのがいいだろう。
2020年に入り各メーカーのウルトラワイド液晶が続々と参入しているが、いわゆるゲーマー向けとされる高リフレッシュレート対応製品は、24型サイズのハイエンドゲーミング液晶が2枚買えてしまうほどの価格帯であった。そんな市場に遅れて登場したGIGABYTE「G34WQC」は、実勢価格税込約57,970円とまさかの価格設定で二度見してしまうほどに安い。
実は前回も同社の「G」シリーズから32型WQHD(2,560×1,440ドット)「G32QC」のレビューをお届けしているが、没入感という観点から言えば、「G34WQC」が圧倒的に上をいっている。サイズが大きくなっているのだから当たり前ではあるが、それよりもアスペクト比21:9のUWQHD(3,440×1,440ドット)となったことで、よりワイドに包み込まれるような臨場感を味わうことができる。
FHD(1,920×1,080ドット)の液晶を2枚横並びとした環境と概ね同じとなるため、わざわざマルチディスプレイの設定をする必要も無く、ベゼルによる境目でイライラすることも無い。それでいてリフレッシュレート144Hz駆動、高い応答性とディスプレイ同期まで搭載しているのだから、ウルトラワイドの湾曲ゲーミング液晶を求めているユーザーであれば、一番初めに検討するべき製品だ。
協力:日本ギガバイト株式会社