エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.916
2020.09.29 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
延長ケーブルで取り回され、フロント側にマウントされている電源ユニット |
電源ユニットもまた、マザーボード同様に決め打ちのモデルが指定されている。搭載されているのは、80PLUS GOLD認証を取得したFractal Designの650Wモデル「ION SFX 650G」。SFX-Lフォームファクタを採用するコンパクト電源ユニットの決定版だ。
可能な限り「Era ITX」の内部容積を使い切るには、SFX電源が最適解。その少ない選択肢の中にあって、「ION SFX 650G」の完成度は群を抜いている。注目は異次元の柔軟性をもつ「UltraFlexケーブル」だ。効率や電流容量を損ねずに導体の厚みを半分程度に抑えたケーブルで、特にこうした狭小極まる構成で真価を発揮する。
120mmファンを内蔵できるSFX-Lフォームファクタの「ION SFX 650G」。フルモジュラー仕様のGOLD電源で、極めて柔軟な「UltraFlexケーブル」が採用されている |
そのほか、すべて日本メーカー製の105℃コンデンサを採用するなど、電源としての信頼性は一級品。120mm口径のFDBファンを搭載、低負荷時にファン回転を停止するセミファンレスの「Zero RPM」モードにも対応している。
システムの余剰ケーブルが取り回される裏配線スペースをチェック。どのように収められているだろうか |
「Premium-Line Z490FD-Mini」の外観チェックを締めくくるにあたり、最後は裏配線エリアをチェックしておこう。「Era ITX」の裏配線スペースは開放部が多く、いわば「ご自由にどうぞ」といった体の構造だ。それだけにキレイなケーブルルーティングは、BTOベンダーにとって腕の見せどころ。いたずらに結束バンドを使うことなく、流れるように束ねられた配線の美しさは、サイコムの持つ高い技術を示している。
たすき掛けのように取り回された、EPS8pinのフラットケーブル。決して結束バンドの数は多くないのだが、構造をうまく利用して束ねられていることが分かる |
電源ユニット周辺にうまく収められた各種ケーブル。ATX電源を搭載した場合は、こうした余裕は生まれないだろう |
ここまで「Premium-Line Z490FD-Mini」のコンセプトや構造をつぶさに観察してきた。ここからは実際に電源を投入し、各種ベンチマークテストでその実力を確かめてみよう。評価機はCore i9-10900KとGeForce RTX2080 SUPERを組み合わせた、現行Intel環境でもかなりのハイエンド構成。検証におけるスコアに期待がかかる一方、発熱などの挙動も気になるところだ。
CPUは、カスタマイズにより第10世代Coreプロセッサ最上位のCore i9-10900Kが搭載されている |
シングルスレッド処理時は最大5.1GHz程度、マルチスレッド処理時には4.9GHz程度で動作していた |
グラフィックスカードはGeForce RTX2080 SUPERを搭載。高負荷時には1,920MHz程度までクロックが上昇していた |
まずは手始めに、純粋なCPUのパフォーマンスを「CINEBENCH R15/R20」で確認しよう。“Comet Lake-S”こと第10世代Intel Coreプロセッサ最上位のCore i9-10900Kを搭載しているだけに、トップクラスのスコアが期待できそうだ。
さすが10コア/20スレッドのメニーコアCPUとあって、マルチコアテストは「CINEBENCH R15/R20」ともに印象的なスコア。マルチスレッド性能が物を言うクリエイター向けのタスクにおいても、十分なパフォーマンスを発揮してくれるだろう。
そして高いシングルコア性能を武器とするIntel製CPUらしく、シングルコアテストでは現行CPUでも最高峰のスコアをマーク。特にゲーミング向けCPUとしては、文句なしの働きが期待できる。タイトル次第ではHyper-Threadingを無効化した方がフレームレートが安定する場合があるが、その際は特上のシングルコア性能が大きなアドバンテージになるだろう。