エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.923
2020.10.23 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
Core i7-10700Kベースのシステムを動かすにあたり、CPUベンチマークの定番である「CINEBENCH R15」と「CINEBENCH R20」を実行。スコアのチェックと合わせて、ベンチマーク中におけるCPUとMOSFETの温度を確認してみよう。なおテストに際し、UEFIの「CLICK BIOS 5」にて簡易オーバークロックの「Game Boost」を有効化。お手軽チューニングによる挙動の変化も確認したい。
メインページで「Game Boost」を有効化するだけ。オフセット設定の調整もせず、簡単なチューニングに留めている |
ピーク時は最大5.2GHzまで上昇。マルチスレッド処理時はおおむね4,800MHzで動作、定格から100MHzほどクロックがアップしているようだ |
「CINEBENCH R15」と「CINEBENCH R20」ともに印象的なスコアで、旧世代のCore i9に匹敵するパフォーマンスをマークしている。ワンクリックの簡易オーバークロックでも最大5%程度のスコアがアップするなど、目に見える形で性能が向上している点も見逃せない。
そして注目はベンチマーク中の動作温度で、上記のグラフは「CINEBENCH R20」を3回連続で実行した際のものだ。高負荷が続くピーク時でも、CPU温度は乱高下することなく極めて安定しており、しっかり冷やしきれていることが見て取れる。温度は定格で60℃程度、OC時に70℃程度と余裕があり、さらなるオーバークロックも十分狙える水準だ。
また、MOSFETの温度に至っては、30℃~50℃程度に収まるなど余裕たっぷり。高耐久コンポーネントの堅牢な電源回路を搭載していることを考慮すれば、安定動作のレベルはかなり高い。電源モジュールもまとめて冷却してくれる、フルカバー水冷の恩恵がよく分かる結果だ。
サーモグラフィではCPUやMOSFETの温度は計測できないが、高負荷時でもクーラントが極めて低い温度で循環しているのがよく分かる |
さすが水冷専業のトップブランドとして名を馳せているEKとのコラボモデルだけに、付属するウォーターブロックの性能は極めて優秀。特に電源モジュールの低温動作は印象的で、これはCPU単体冷却の汎用ウォーターブロックでは真似ができない芸当だ。一般的に(オールインワン型含め)電源モジュールに風が当たらない水冷は、電源周りの温度が高くなりがち。電源周りを巻き込んだ圧倒的な冷却パフォーマンスは、こうした弱点が存在しないフルカバー水冷ならではだ。
この手のフルカバー水冷はハイエンドモデルを対象とした専用品がほとんどなところ、この「MPG Z490 CARBON EK X」はミドルハイモデルがベースになっている点は、コスト面で歓迎したいポイント。ハイエンドモデルに比べ効果的にコストを抑えつつ、オーバークロックを狙える堅牢な電源回路やデュアルヒートシンクのM.2スロット、2.5ギガビットLAN+Wi-Fi 6の強力なネットワークなど、ツボを押さえた機能が揃っている。
そしてEK製水冷以外のユーザーも買い求めるという、便利なリークチェッカーが標準で付属する点も見逃せない。高性能なクーラーや必要な機能を押さえつつ、お買い得なパッケージに仕上がっている。まさにこれからDIY水冷に挑もうという入門者にとって、これ以上ないマザーボードだ。
ちなみに噂によると、「MPG Z490 CARBON EK X」は国内で数十枚の限定販売になるとのこと。DIY水冷の裾野を広げるためにも、今後も継続的なコラボモデルのリリースに期待したい。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社