エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.925
2020.10.27 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
続いて、消費電力をチェックしていこう。ストレステストには「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」を使い、実行中の最高値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時として計測を行った。
アイドル時の消費電力はいずれも省電力機能によって電圧、クロックとも同等レベルまで引き下げられるため80W弱で大きな差はなかった。一方、高負荷時の消費電力は「GeForce RTX 3080 Founders Edition」の448.2Wに対して、「GeForce RTX 3070 Founders Edition」は338.1Wで頭打ちとなり、公称TGPを超える110Wもの差がついた。NVIDIAでは650W以上の電源ユニットを推奨しているが、550Wクラスの電源ユニットで十分まかなえる計算で、SFX電源ユニットしか使えない小型PCケースでも余裕を持った運用ができるだろう。
「GeForce RTX 3070 Founders Edition」に実装されているデュアルファンクーラーの冷却性能を確認しておこう |
最後に「GeForce RTX 3070 Founders Edition」に搭載されているデュアルファンクーラーの冷却性能をチェックしていこう。消費電力の計測と同じく、ストレステストには「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」を使用している。
セミファンレス駆動に対応する「GeForce RTX 3070 Founders Edition」のVGAクーラーだが、45℃を超えると回転をはじめ、高負荷時の回転率は約50%、回転数は1,800rpm弱で頭打ち。温度は最高73℃、ノイズレベルも最高42.5dBAまでしか上がらず、静音性、冷却性能とも非常に優秀だ。ちなみに、テスト終了後はGPU温度が50℃までは徐々に回転数が低下。その後35℃までは1,000rpm前後で回転し、35℃を下回るとファンの回転が停止した。
表面:アイドル時のサーモグラフィ結果 | 表面:高負荷時のサーモグラフィ結果 |
裏面:アイドル時のサーモグラフィ結果 | 裏面:高負荷時のサーモグラフィ結果 |
続いてサーモグラフィの結果を確認すると、アイドル時は両面とも温度は低く、ファンレス動作でも冷却性能に問題はなし。また高負荷時は、表面のヒートシンク部分や、裏面のバックプレート全体に温度が拡散している様子が見て取れる。
すでに発売が開始されているGeForce RTX 3080やGeForce RTX 3090は、GeForce RTX 20シリーズを圧倒するパフォーマンスと引き換えに、消費電力も大幅に増加。TGPは前者で320W、後者に至っては350Wに達し、シングルGPUのグラフィックスカードとしては過去最大級。これに伴いカードサイズも大型化しており、正直かなりユーザーを選ぶ製品だ。
一方、今回の主役であるGeForce RTX 3070のTGPは220Wと控えめ。先代と比較すると、ハイエンドのGeForce RTX 2080とほぼ同じ。パフォーマンス的に同等である、最上位のGeForce RTX 2080 Tiからは30W低下し、扱いやすさは格段に向上した。
またパフォーマンス面では、4K解像度ではGeForce RTX 3080との差が大きいものの、現在主流である60Hzのリフレッシュレートであれば問題ないレベル。それ以下の解像度では差が縮まり、特にシューター系のゲームで、フルHDクラスの高リフレッシュレート液晶ディスプレイを使う場合には、とてもバランスの取れた製品に仕上げられている。
唯一の不安材料は入手性。流石に20万円を超える最上位GeForce RTX 3090の状況は改善しつつあるが、GeForce RTX 3080は未だ潤沢とは言えない状態が続いている。より手頃な価格のGeForce RTX 3070では、さらに人気が出るのは必至。より多くの在庫を用意するため発売日を遅らせる措置が取られたが、潤沢に製品が用意されていることを望みたい。
協力:NVIDIA Corporation