エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.934
2020.11.21 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
よりゲームプレイに近い環境における挙動を確かめるため、オンラインの人気タイトル「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ」の公式ベンチマークソフトを実行。グラフィックス設定は「最高品質」、解像度を3,840×2,160ドットに設定し、30分間ループで動作させることにした。
いまや軽めのベンチマークテストということもあり、最大消費電力は今回で最も低い472W。実際に一般的なゲームタイトルをプレイする場合は、概ねこのくらいの消費電力に落ち着くのではないだろうか。
それで結果を見ていくと、なんと+12V/+5V/+3.3Vすべてにおいて、先ほどの「3DMark」と最大/最小値が同じになった。平均値もほぼ変わらない数値であることから、同じような傾向の微細な変動に収まっていることが分かる。まさにド安定と言ったところか。
最後は同じくゲーム系のベンチマークテストから、より負荷の高い「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」の公式ベンチマークをチョイス。解像度は3,840×2,160ドットにセット、カスタム設定で最も負荷がかかるように項目を選択し、30分間ループで実行した。
最大消費電力はさすがに「FF14」よりだいぶ多く、544Wまで上昇した。シングルCPU+GPUで約600Wになる「OCCT」のような負荷は極めてまれなため、このあたりが現実的な重量級タイトルの負荷レベルと言えそうだ。
そして肝心のテスト結果の方は、+5Vの最小値でわずかに定格を割っているものの、それはテスト開始時の一瞬だけ。グラフの波形はこれまでのテストで最も落ち着いており、+12Vの変動幅も0.02%未満に収まっていた。大小の負荷が断続的にかかるゲーミングシーンにおいても、動作の信頼性にまったく変化はなかった。
OEM供給に主軸を置いていたかつての日本市場へのアプローチとは異なり、昨今FSPブランド製品のリリースが続いている。もう知る人ぞ知るといった存在ではなく、世界でもトップクラスの実力をもつメーカーとして、より広く国内の自作派に知られるようになった。
今回新たに市場に投入された80PLUS PLATINUM認証の「Hydro PTM PRO」シリーズは、そうした老舗ブランドの底力を感じさせる意欲作。高温多湿の環境でもタフに動き続ける産業クラスの信頼性は、日本の気候にもマッチしている。現実にそこまで過酷なシチュエーションで動かすことはないまでも、最高レベルの耐久性が担保されているというだけで、大きな安心感と選ぶ際の説得力に繋がるはずだ。
実際の検証においても、あらゆる高負荷な環境で揺るがない安定動作は証明済み。飾り気のなさは相変わらずだが、高品質コンポーネントで固められた堅実な設計、ON/OFF可能なセミファンレス機能に代表される優れた実用性は、クラス最高峰だ。特に「OFF-WETテクノロジー」による圧倒的な耐久性は抜きん出たものがあり、手広く電源製品を手がけてきたFSPの高い技術力をうかがい知ることができる。
価格は80PLUS PLATINUM認証製品の中でも中堅どころ。コストパフォーマンスを論じるクラスではないものの、価格以上の仕上がりを感じさせてくれる製品だ。
協力:FSP GROUP Inc.
株式会社アユート