エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.937
2020.11.27 更新
文:撮影:松枝 清顕(解説)/ 検証セッション:池西 樹
決してサボっていたわけではないものの、実に7ヶ月振りの空冷クーラー検証となってしまった。さらに2020年度に限って振り返ると、3月にNoctua「NH-L9a-AM4 chromax.black」、4月にZALMAN「CNPS20X」の計2製品だけ。敢えてカウントはしなかったが、エルミタにおけるCPUクーラーの主役は水冷クーラーであったことは否めない。
そもそも筆者は水冷クーラーの性能は十分に認めつつも、今でも空冷派であり、現在主流となるCPUを十分かつ安定的に冷却できるポテンシャルを持ち得ていると思っている。高額な空冷クーラーなら、オールインワン型水冷ユニットと価格帯で重なる部分があり、両者は常に拮抗した関係にある。性能差は一概に言えずさておき、だが、好みやシステムとの兼ね合いで決めればいいこと。今後も空冷クーラーは無くならないだろうし、以前のようなスピード感は失いつつも、進化を続けていくだろう。
DeepCool「AS500」(型番:R-AS500-BKNLMN-G) 市場想定売価税抜6,780円(2020年10月30日発売) 製品情報(DeepCool / 株式会社アスク) |
さて、今回取り上げるDeepCool「AS500」は、スリム型ヒートシンクを採用するサイドフロー型CPUクーラーの新作。本社DeepCoolと国内代理店の株式会社アスクから、ほぼ同時にオファーがあった事で、かなりの自信作である事が窺える。さらに、同時に勧められたPCケースの新作を蹴ってまで取り上げる事にした編集部のチョイスには、今年3製品目、前回より7ヶ月振りの空冷クーラー検証に抜擢されるだけの”良さそうな雰囲気があったから”に他ならない。
評価サンプルに触れる前に、スペック表から「AS500」の概要を把握しておこう。基本コンセプトは、隣接するメモリスロットに干渉しない、ナロー型放熱フィンのサイドフロー型CPUクーラー。アルミニウム製放熱フィンとファン、φ6mmヒートパイプ5本で構成され、全高は164mmとされる。ミドルタワーPCケースのCPUクーラー有効スペースは、160mm前後が基準になっており、ややコンパクトなPCケースで使用を検討する場合は、スペック表を事前に確認しておくことは必須だ。
また、搭載される冷却ファンは25mm厚の140mmサイズで、フレームの角部がはみ出さないセミラウンド形状が採用されている。ワイヤーでヒートシンクに固定するスタイルは、某国内メーカーを彷彿とさせるが、立ち姿は奇をてらわないオーソドックスなスタイルと言えるだろう。唯一、ヒートシンクトップ部にあるカバーのような存在は、モデル特有のギミックである事は明らか。後にじっくりとご紹介できるだろう。
対応プラットフォームは、Intel系がLGA2066/2011-3/2011/1200/1155/1151/1150、AMD系がSocket AM4/AM3+/AM3/AM2+/AM2/FM2+/FM2/FM1で、現在流通するコンシューマ向けCPUのほとんどに対応している。最後にパッケージサイズは、実測で幅140mm、横180mm、高さ240mmで、エメラルドグリーンが印象的だ。