エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.940
2020.12.06 更新
文:藤田 忠/撮影:松枝 清顕
最後は重量級タイトルの「Watch Dogs:Legion」で見ていこう。解像度はフルHDで、内蔵ベンチマーク機能を利用して計測している。
テストの解像度はフルHDで、画質は「最大」、「超高」、「高」の3種類に加え、レイトレーシング「中」、DLSS「バランス」に設定した際のフレームレートをまとめた。
重量級になる「Watch Dogs:Legion」では、GeForce RTX 2070でも最高画質でのプレイは厳しめで、「最大」設定時の平均フレームレートこそ58.29fpsだが、最低1パーセントタイル点は30fpsを切っている。ただ、「高」にまで落とすことで、最低1パーセントタイル点も67.98fpsまで向上し、平均も88.21fpsを記録している。DLSSを有効にする必要はあるが、レイトレーシングでのリアルな画質を楽しみつつのプレイも十分可能だ。
前世代GPUになるが、グラフィックスカードを搭載することで、最新の重量級ゲームもプレイできるゲーミングPCになる「Intel NUC 9 Extreme Kit」の「NUC9i9QNX」。大きく性能が向上した新世代GPUのGeForce RTX 30シリーズや、Radeon RX 6000シリーズと組み合わせれば、最強クラスのコンパクトゲーミングPCになる可能性を秘めている。ボード長200mmアンダーとなるモデルの登場を大いに期待したい。
なお、今回試せていないが「Intel NUC 9 Extreme Kit」はThunderbolt 3ポートを備え、Razer「Razer Core X」などのThunderbolt 3対応eGPU外付けケースを使うことで、一般的なサイズのグラフィックスカードの搭載も可能。新世代GPUのショート基板モデルが登場しなかった場合も安心ではある。
新たに発売された「Razer Core X」のカラバリモデルとなる「Razer Core X Mercury White」。実勢価格は36,000円前後になる |
コンパクトサイズながら、さまざまな用途に使える可能性を持っている「Intel NUC 9 Extreme Kit」シリーズ。ここからは拡張スロットを活用した動画録画配信PCとしての性能をチェックしてみた。
拡張スロットには、ゲーミングPCや、次世代家庭用ゲームはもちろん、iPadやスマホなどの映像を取り込める4K HDR/60fps、フルHD/240fpsの録画に対応するHDMIキャプチャーカードのAVerMedia「Live Gamer 4K GC573」を搭載した。
PCI-Express(x4)接続のHDMIキャプチャーカード「Live Gamer 4K GC573」。ソフトウェアエンコードになる | 4K HDR/60fpsの録画とパススルーに対応している |
録画配信にはAVerMedia製ソフトウェア「RECentral 4」を使用し、別に用意したゲーミングPCの映像を「Live Gamer 4K GC573」に入力。フルHD/144fpsでゲームプレイ動画を録画してみると、難なくコマ落ちない動画を録画できた。コーデックにCPU内蔵GPUを利用する「Intel QSV」を利用したこともあり、CPU負荷は1つのスレッドが100%近くになるが、全体平均では20%程度とかなり余力が残されている。
「RECentral 4」ではコーデックにGPUを活用でき、Intel UHD GraphicsのQSVを利用可能だ | ゲームのプレイ動画などを録画、配信できるAVerMedia「RECentral 4」 |
フルHD/144fpsで録画した際のタスクマネージャー。CPU使用率は20%程度だ | フルHD/144fps設定で録画された映像を確認すると、フレームレートはしっかりと143.99になっていた |
「RECentral 4」は、ライブ配信機能も備わっているので、フルHD/60fps(映像ビットレート4.5Mbps、QSVコーデック)でTwitchにライブ配信しながら、録画(映像ビットレート30Mbps、QSVコーデック)も試したが、CPU使用率は20~25%程度と、こちらも余裕だった。
Twitchにゲーム実況を想定して配信。なお、配信者の映像はUSBウェブカメラを使って取り込んだ | ライブ配信しながら録画した際のタスクマネージャーで、CPU使用率は20~25%程度になる |
Intelがゲーミング向けNUCとして世に出した通り、グラフィックスカードを搭載することで、手軽にコンパクトなゲーミングPCを手にすることができる小型ベアボーンキットの「Intel NUC 9 Extreme Kit」。しかしその可能性はゲーミングPCだけに留まらない。
用途に合わせた小型PCが欲しかった人、注目のベアボーンキットだ |
圧倒的な処理性能を発揮したGeForce RTXシリーズのRTコアを活用したコンパクトな3DCG作成PCや、ゲーミングPCや次世代家庭用ゲーム機などの高解像&高フレームレート映像を実況配信、さらに録画配信できる録画配信PCに至るまで。高スペックが求められる用途をコンパクトに実現できる、注目の小型PCだ。
協力:テックウインド株式会社