エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.948
2020.12.29 更新
文:松野 将太/撮影:松枝 清顕
DirectX 12 APIを利用したAAA級の最新タイトル「ボーダーランズ 3」ではどうだろうか。画質プリセットは最高の“バッドアス”を選択し、解像度は1,920×1,080ドット、2,560×1,440ドット、3,840×2,160ドットの3種類で計測。ゲーム内ベンチマークテストでフレームレートを取得している。
比較的高負荷なタイトルではあるが、本作は「Smart Access Memory」の効果がかなり強めに出ることもあって、フルHD~WQHD解像度では最小100fpsを超える快適なフレームレートが出ている。また4K解像度でも最小フレームレートは60fpsを超える。Radeon RX 6800 XTであれば、多くのタイトルで解像度を選ばずリッチなゲーム体験が可能だろう。
セッションの最後に、システムの消費電力とGPU温度、グラフィックスカードのファン回転数をチェックしておこう。消費電力のテストには「3DMark Time Spy」を使い、実行中の最高値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時として、ワットチェッカーで計測を行った。
アイドル時の消費電力は約56Wと、リファレンス仕様のカードと大きく変わらない。ただし、高負荷時の電力最大値は492Wと、500W近くまで上昇する。オーバークロックぶんの電力が上乗せされている形だが、少なくとも容量500W程度の電源ユニットでは明らかに心もとない。なるべく750~850W以上の電源ユニットを用意しておきたいところ。グラフィックスカードの乗せ換えを検討している場合、電源容量を忘れずに確認しておこう。
続いて、「3DMark Time Spy Extreme」実行中のGPU温度、クーラーのファン回転数を見てみよう。モニタリングは「HWiNFO 64」で実施している。
ベンチマーク中の温度は、Performance Modeの結果がピーク時70℃を超えなかったものの、Silent Modeでは70℃をわずかに超えていることが分かる。一方で、ファン回転数の上限はPerformance Modeの方が200rpmほど高い。テスト中のGPUクロックを確認したところ、動作クロックのピーク値はほぼ変わらなかったことから、Silent Modeは動作クロックを極力維持したまま、ファン回転数だけを1,200rpm前後に落とすチューニングをしているようだ。2つのモードでベンチマーク結果があまり変わらなかったのはそのためで、結果としてGPU温度には若干の差が出てしまうものと思われる。
冷却効率は若干落ちるものの、パフォーマンスは保ちつつ静音化できるとなれば、静音志向のユーザーにとっても使いやすい調整と言えそうだ。どちらにせよ、クーラーそのものの冷却性能はかなり優秀なため、動作音が気になるようであればモードを切り替えてみるのも有効かもしれない。
「NITRO+ Radeon RX 6800」シリーズは、冷却性能の高いオリジナルクーラーを採用し、さらにファクトリーOC仕様により、Radeon RX 6800 XTシリーズの高いポテンシャルを可能な限り引き出している優秀なグラフィックスカードだ。繰り返しになるが、この記事でフォーカスをあてたRadeon RX 6800 XT搭載モデルに関して言えば、通常モデルとSPECIAL EDITIONの違いはわずか。性能的にはどちらを買っても問題がない。ちなみにSPECIAL EDITIONの市場想定売価は税込113,080円前後、通常モデルの市場想定売価は税込109,780円前後。3,000円弱の価格差があるが、もともとが100,000円越えの製品であるため、あまり気にする人もいないだろう。
とはいえ、原稿執筆時点では各メーカーのRadeon RX 6000シリーズが軒並み在庫不足に悩まされており、少数がショップに並んではあっという間に消えていく、といった状況が続いているようだ。本製品もおそらくその例に漏れず、入手性に関しては当分のあいだ如何ともしがたいところはあると思うが、製品自体の質は確かなもの。店頭で本製品を見かけ、思い切って購入してしまうことがあったとしても、きっと満足に足るパフォーマンスを発揮してくれるはずだ。
協力:SAPPHIRE TECHNOLOGY LIMITED
株式会社アスク