エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.949
2020.12.31 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
ゲーム関連のベンチマークが一段落したところで、消費電力をチェックしていこう。ストレステストには「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」を使い、実行中の最高値を高負荷時、起動後10分間何もせず放置した状態をアイドル時として計測を行った。
アイドル時は、省電力機能が有効になり、GPUコアや電圧、メモリスピードとも同等レベルまで引き下げられるため、モードによる違いはなし。また高負荷時の消費電力はDefaultの455.8Wに対して、OC Modeでは483.4Wで約30W増加。いずれも「Radeon RX 6800 XT Phantom Gaming D 16G OC」の推奨電源容量である800W以上の製品を用意すれば問題なくまかなえるレベル。確実にパフォーマンスの上積みもあることから、OC Modeは基本有効にした状態で運用するのがオススメだ。
最後にオリジナル3連ファンクーラー「Phantom Gaming 3X Cooling System」の冷却性能をチェックしていこう。なお消費電力の計測と同じく、ストレステストには「3DMark Time Spy Extreme Stress Test」を使用している。
表面:アイドル時のサーモグラフィ結果 | 表面:高負荷時のサーモグラフィ結果 |
裏面:アイドル時のサーモグラフィ結果 | 裏面:高負荷時のサーモグラフィ結果 |
アイドル時はいずれもセミファンレス機能によって、ファンの回転は完全に停止する。また高負荷時でもDefaultでは、回転率約50%、回転数は概ね1,700rpm前後で推移し、GPUの温度も63℃、HotSpotの温度も81℃で頭打ちになった。
OC Modeではやや変動が大きくなるが、回転率は最高約55%、回転数は最高約1,950rpm、GPUの温度は最高67℃、HotSpotの温度は最高86℃で、まだ余力が十分に残されている状態。あくまでも自己責任にはなるが、手動チューニングによってさらなるパフォーマンスアップも狙うことができるだろう。
また騒音値(測定時CPUファンの回転は強制的に停止)も、Defaultで40.4dBA、OC Modeでも最高42.1dBAまでしか上がらず、バラック状態のテストでもノイズが気になることはなかった。
グラフィックスカードとしては最大級となる、3基の100mm口径ファンで構成されるオリジナルクーラー「Phantom Gaming 3X Cooling System」を搭載する「Radeon RX 6800 XT Phantom Gaming D 16G OC」。回転数は50%前後にも関わらず、GPUの温度は70℃を超えることはなく、その冷却性能はまさに圧巻の一言。静音性も優秀で、長時間のゲームプレイでもノイズに悩まされる心配はないだろう。
さらにハイエンドマザーボードで培った技術を取り入れた堅牢な電源回路や、「2オンス銅箔層」を備えたPCBによって、OC Mode時には2,600MHzを超えるクロックを記録。Radeon RX 6800 XTの持つポテンシャルを最大限に引き出すことができるよう設計されており、Ryzen 5000シリーズでハイエンドゲーミングPCを構築するなら非常に魅力的な選択肢になる。
唯一の懸念材料は入手性。ただし、これはASRockに限ったことではなく、AMD Radeon RX 6000シリーズ共通の問題だ。ライバルと十分に戦える性能に加え、高い冷却性能と静音性を兼ね備えたオリジナルモデルがせっかく登場しても購入できないのでは意味がない。AMDにはできる限り早く、Radeon RX 6000シリーズの安定供給をお願いしたい。
協力:ASRock Incorporation