エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.950
2021.01.03 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
be quiet!「Dark Power Pro 12 1200W」 実勢売価税込71,500円前後(2020年12月現在) 製品情報(be quiet!) |
一度聞いたら忘れないユニークなネーミング。自作PCマニアにとって知られた存在のbe quiet!は、Listan GmbHが展開するドイツ発のPCパーツブランドだ。日本においては静音ファン「Silent Wings」シリーズのヒットが有名だが、実は最も息が長い主力製品は電源ユニット。2001年のブランド設立(ちなみにListan社自体は2000年創業)からそれほど間を置かず、早くも2003年に初めて自社開発の電源ユニット(「Revoltec」シリーズ)を市場に投入している。
その後もヨーロッパで電源ユニットのシェアを伸ばし続け、ドイツ市場では2007年以来最も多くの電源ユニットを売り上げるトップブランドに成長した。それ以外では冷却ファンやCPUクーラー、PCケースの開発も手がけ、いずれも魅力的なラインナップ揃い。しかしそのほとんどが、日本ではあまり目にすることができない代物だ。
文句なしの一流ブランドとして認知されているbe quiet!だが、日本市場における流通は限られてきた印象。このほど、久しぶりに電源ユニットの新モデルが発売されることになった |
実はbe quiet!の日本向け展開はそれなりに古いのだが、度重なる代理店変更などの影響もあり、幾度も“再上陸”を繰り返してきた経緯がある。豊富な実績と魅力的なラインナップを抱えながら、いまだ日本市場に完全に浸透しているとは言い難い。数ある“もっと評価されるべき”メーカーの筆頭格という印象を持っている関係者は、業界にも少なくないはずだ。
そんなbe quiet!から登場したのが、新たな電源ユニットのフラッグシップモデル「Dark Power Pro 12」。容量は1500Wと1200Wの2モデルをラインナップしており、国内向けには1200Wのみ取り扱いが決定。2020年の年の瀬に駆け込むように店頭販売が開始されている。
さて、まずは今回の主役である「Dark Power Pro 12」の概要を確認しておこう。最大94.9%の電力変換効率を誇る80PLUS TITANIUM認証の電源ユニットで、ケーブルタイプはスリーブケーブルを使用するフルモジュラー仕様。重厚なアルミウム製ハウジングを採用した、フラッグシップモデルに相応しい風格を放つ製品だ。
日本市場では1200Wモデルの「Dark Power Pro 12 1200W」のみ発売。価格は約7万円超と、80PLUS TITANIUM認証モデルの中でもトップクラスに位置する |
低リップルかつ世界最高レベルの負荷レギュレーションを実現したフルデジタル制御が特徴で、12V出力は6系統マルチレーンのフルブリッジLLC回路を採用。それだけではなく、制御基板に2基のMCUを内蔵することでシングルレーン動作への切り替えも可能という、ユニークな機能を備えている。大出力を要求されるオーバークロックなどを想定した機能で、外部ブラケットに装着する「Overclocking key」を使用し、12V制御を切り替えることが可能だ。
ユニット内部は洗練されたケーブルレスデザインを採用、コンデンサにはすべて日本メーカー製の105℃品を使用するなど、24時間365日稼働を前提とした信頼性重視の設計になっている。
be quiet!長年のノウハウが結集された、オリジナリティあふれる設計は見もの。部材にも高品質コンポーネントが惜しげもなく使われている |
日本メーカー製の大容量105℃コンデンサを採用。注目の内部構造は、後ほど詳細にチェックしていこう | ブランド名そのままに、超静音動作をモットーとする高性能ファン「Silent Wings fan」が搭載されている |
また、冷却ファンには135mm口径の特許取得済み「Silent Wings fan」を搭載。流体動圧ベアリング(FDB)と6極モーターを内蔵したフレームレス仕様の超静音ファンで、漏斗形状に成形されたインレットを組み合わせて乱流の発生を抑え、エアフローを最大化させている。
動作音は負荷50%以下では12dB以下(ちなみに1500Wモデルは15dB以下)と、極めて静粛。業界で主流のセミファンレスではなく、静音ファンによる常時回転のアプローチが採られた。コンポーネントの確実な冷却を重視する姿勢はもちろんのこと、ファンの音が「事実上耳に届くことがない」と謳う静音への自信ほどが窺える。