エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.950
2021.01.03 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
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専用のコネクタで接続し、ブラケットに取り回すことができる「Overclocking key」。電源オフの状態でスイッチを入れて有効化すると、12Vシングルレーンで動作する |
ここまでのテストでは、「Dark Power Pro 12」の標準仕様とも言えるマルチレーン動作で検証を行ってきた。そこで最後は「Overclocking key」を使用したシングルレーン動作での挙動をチェックし、テストセッションを締めくくろう。テストメニューは「OCCT 7.2.0」の「Power」プリセットと「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ」ベンチマークをチョイス。これまで同様にそれぞれ30分間動作させている。
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OCCT 7.2.0:Power(Overclocking key使用時) |
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FFXIV(Overclocking key使用時) |
結論から言うと、電圧変動の傾向はマルチレーンと同様で、挙動に違いが出ることはなかった。どちらでも最高レベルの安定動作が可能であり、純粋にシチュエーションに応じて使い分けることができる。ただし消費電力はそれぞれ638Wと526Wで、マルチレーン時に比べ7~13Wほど上昇していた。安定性に変わりはないものの、変換効率でやや無駄が出てしまっているのかもしれない。CPUオーバークロックなど特定の用途以外では、標準仕様のまま使用した方が無難のようだ。
単なるラインナップ中のフラッグシップモデルというだけでなく、電源ユニットとして、さらに一段上のレベルに達した。そう思わせるだけの完成度の高さが「Dark Power Pro 12」にはある。確かに約7万円超という価格設定は、他のTITANIUM認証モデルを見渡しても、抜きん出てプレミアムな領域。重要ながら目立たない存在という電源ユニットのイメージを覆し、ともすれば構成パーツの中で最も高価なアイテムにもなり得る。
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しかしこうして検証を終えたいま、それに見合うだけの価値が伝わったのではないだろうか。一見して技術力の高さをうかがい知ることができる内部設計や、ささやき声より静かに常時稼働する、考え抜かれた冷却機構。それらがまるで高級PCケースのような風格を放つ、肉厚のアルミハウジングに収められている。
イルミネーションなどの装飾要素は皆無ながら、純粋な電源ユニットとしての機能に裏打ちされた、圧倒的な存在感。妥協なしの構成を追求するエンスージアストを唸らせる、確かな実力こそが最大の魅力だ。
協力:be quiet!