エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.951
2021.01.07 更新
文:池西 樹(検証)/文・撮影:松枝 清顕(解説)
ここからは、まず上位モデルProArtist「DESSERTS3」の冷却性能をチェックしていこう。検証用のCPUは、Ryzen 5000シリーズの最上位モデルRyzen 9 5950で、マザーボードにはAMD B550チップセットを採用するASRock「B550 Taichi」を用意した。またストレステストは「OCCT 7.2.3 CPU:LINPACK」、CPUの温度やファン回転数の計測は「HWiNFO v6.40」を使用。マザーボードのファンコントロール機能はもっとも静音志向の「Silent Mode」に設定し、「ロースピードケーブル」を接続した状態でも計測を実施した。
「CINEBENCH」系のマルチコアテスト時(画像左)は概ね4.045GHz、シングルコアテスト時(画像右)は4.90GHz前後までクロックが上昇する |
トップパネルに実装されているRGB LEDは、マザーボードの12V/4pinコネクタ経由でカラーや発光パターンを制御できる |
CPUに非常に高い負荷が掛かる「OCCT 7.2.3 CPU:LINPACK」だが、テスト中のCPU温度は概ね67~72℃で推移。最高温度も73.5℃までしか上がらなかった。動作クロックも定格(3.40GHz )を700MHz以上も上回る最低4.150GHzを維持できており、Ryzenシリーズに実装されている自動オーバークロック機能も効果的に動作している事がわかる。ちなみに「ロースピードケーブル」の有無では動作クロック、CPUの温度とも大きな差はつかなかった。
続いてファンの回転数を確認するとアイドル時は680rpm前後、テスト中は約1,100~1,300rpmで推移。ファン回転数の公称最大値は1,550rpmなので、冷却性能にはまだ余力が残されている状態だ。また「ロースピードケーブル」接続時は、アイドル時の回転数に変化はないものの、高負荷時の最高値は約1,200rpmで頭打ち。このことから「ロースピードケーブル」は、常に回転数を低下させるのではなく、最高値を1,200rpm前後に抑える効果があるようだ。
マザーボードのファンコントロール機能で、CPUファンの回転数を「Full Speed」にしたところ。「標準」では1,600rpm前後まで回転数が上昇するのに対して、「ロースピードケーブル」接続時は1,200rpm前後で頭打ちになる |
続いて騒音値を確認すると、アイドル時は34.2dBAで、動作音は判別できないレベル。また高負荷時は、「ロースピードケーブル」接続時が39.7dBA、「標準」でも40.5dBAまでしか上がらず静音性は良好。バラック状態かつCPUファン以外は動作していないため、わずかに風切り音は聞こえるものの、通常のPCとして組み立てた場合はケースファンや電源ファンのノイズに完全に紛れてしまうことだろう。