エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.957
2021.01.29 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
シャーシ側フロントパネルには、出荷時より3基の120mmファンが標準装備されている。グレー色のインペラは9枚で、標準的な120mmファンよりも風量を稼ごうという考えのようだ。主たる役割は、フロント開閉ドア側面の隙間からフレッシュな外気を取り入れ、内部エアフロー効率を向上させるというもの。回転数や騒音値などの詳細は開示されていないが、実際に動作させてみたところ(低速モード時)、1,000rpm程度の緩やかな回転により、静音性は確保できている。それでいて、面で取り込む3基分の風量も十分で、「P10 FLUX」の冷却性能の中心的存在である事は間違いない。
なおラジエターの搭載も可能。120/240/280/360mmの各サイズがサポートされ、フロントパネル外側に冷却ファンを搭載する場合は厚さ55mmまで、内側に冷却ファンを搭載する場合は厚さ30mmまでの対応とされている。
3基の120mmファンは標準装備品。ファンコネクタケーブルは、正面右側のスルーホールより、マザーボードトレイ背面側に配線されている |
前面からの埃の進入を防ぐマグネット固定式の防塵フィルタも標準で装備されていた※防塵フィルタは、初期ロットのみの装備品となります(2021/4/28) |
リア部にも120mmファンが1基標準で装備されている。フロント同様回転数等の詳細スペックは開示されていないが、羽形状から恐らくは同一モデルだろう。断るまでもなく、エアフロー方向は排気で、CPUソケット周辺の熱籠もりを解消すべく、常時排出を行ってくれる。テーパーネジで固定されたネジ穴部はスリットタイプで、ストロークは実測で約30mmとなり、固定位置の微調整ができるようになっている。なお120mmサイズラジエターの搭載も可能。
「F-LUX PLATFORM」の定義に欠かせないのが、ボトムカバー上に設置する120mm逆回転ファンだ。トップパネルを密閉する静音志向の筐体だが、右サイドパネル下部には通気孔を備え「F-LUX PLATFORM」に準拠。通気孔はボトムカバー内部のエリアに位置し、インペラの”捻る向き”が逆に設計された120mm逆回転ファンにより外気を取り込み、筐体内部に新たな風の流れを作ろうという考えだ。門外不出ながら、Antecの内部資料にもその効果は数値で表されており、構成パーツの安定動作にきちんと貢献しているという。
これまで検証を行った兄弟モデルとは異なり、トップ部には「LEDコントローラー」に代わる「ファンスピードコントローラー」が装備されている。標準では低速モード、ワンプッシュで高速モードになり、システムの負荷状況に応じて設定ができるというもの。これを制御しているのが、右サイドパネル側のマザーボードトレイ背面に固定されている「6ch FAN SPEED CONTROLLER」だ。出荷時よりフロント部3基、リア部1基の120mmファンコネクタは接続済みで、4基を一括制御できるようになっている。なお基板には2つの空きコネクタがあり、任意で増設が可能。ちなみにSATA電源ケーブル1本を接続すれば、全ての冷却ファンへの給電が行われる。マザーボード上のコネクタを使用する必要がなく、ケーブルマネジメントも有利と言えよう。