エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.957
2021.01.29 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
ここからは実践編。内外装の特徴を頭に叩き込んだところで「P10 FLUX」に構成パーツを組み込んでみる。エルミタのPCケース担当としては、これまで数多くの製品に触れてきたが、資料やマニュアルに目を通した後と、実際に組み込みを行った後の印象が、必ずしもイコールにならない事がままある。実際に作業を行いながら、組み込みのポイントや搭載後の周辺クリアランス、新たな発見などをご紹介していこう。
まずはマザーボードを搭載してみたい。搭載テストにはMSI「MPG X570 GAMING PRO CARBON WIFI」を用意。基板サイズは304mmx243mmのATX規格で、予め装着済みのスタンドオフに、付属のミリネジ9本を締め付けていく。「P10 FLUX」は左側面の開口部が広く、作業を妨げるものがない。さらに拡張スロットは外部固定(ネジ留め)だけに、ドライバーが入りにくいマザーボード左側面縦列のネジ留めもスムーズに行う事ができた。
搭載後の周辺クリアランスを計測してみると、フロントパネルまでは約160mm、トップパネルまでは約55mmだった。この数値が表すとおり、マザーボードの居住性は良好である事が分かる。
裏手に回り込み、CPUクーラーメンテナンスホールの開口部をチェック。計測したところ幅約200mm、高さ約140mmで、Socket AM4標準のバックプレートも十分に露出できている |
次なる作業は電源ユニットだ。搭載テストには80PLUS TITANIUM認証Antec「SIGNATURE Titanium 1000W」(型番:X9000A505-18)を用意した。容量4桁のハイエンドモデルには、135mmファンが搭載され、奥行きは170mmにおよぶ。
内部構造チェック時に触れた通り、有効スペースは実測で約220mm(公称/推奨205mm)。コネクタや電源ケーブルの占有スペースを考慮すれば、奥行き160mm程度電源ユニットがオススメとしたが、それよりも敢えて10mm長い電源ユニットをチョイスしている。
ボトムカバーの右側面開口部より本体を滑り込ませ、背面4箇所をインチネジで固定。同じく底面を共有する2.5/3.5インチシャドウベイユニットまでの距離を測ると、約50mmを残した。固定した状態でコネクタの抜き挿しはしづらいが、このモデルに限らず、多くの自作派は予め必要数のケーブルコネクタは接続した状態で電源ユニットを固定する手順を踏むだろう。問題は増設時で、仮に着脱式の背面外枠固定タイプであれば、電源ユニットを後方にずらす事で解決できる。モジュラー式電源ユニットのニーズは高く、選択肢も多いことから、搭載方法は改良を希望したい。
左サイドパネルがソリッドタイプだけに、銘柄が露出できる小窓は用をなさないのはご愛敬。どうしてもというこだわりのある人は、兄弟モデル「DF600 FLUX」「DP502 FLUX」という選択肢がある |
近ごろは魅力的な空冷クーラーもちらほらリリースされているが、今回は選択肢豊富なオールインワン型水冷ユニットを組み込んでみた。搭載テストには240mmサイズラジエターを備えるAntec「Neptune240」を用意。ちなみにラジエターの搭載箇所だが、トップパネルが密閉されていることから、フロント部固定の一択になる。スペック表によると、リアは120mmサイズのみ、フロント部は120/240/280/360mm各サイズのラジエターが搭載可能とされており、兄弟モデルと比べればレイアウトの自由度は制限される。
組み込みを行ったところ、開口部の広さから作業自体はスムーズに行う事ができた。ただし「Neptune240」のようにラジエターにポンプが内蔵されているモデルでは、フロント部に120mmファン3基は搭載できず、最下段の1基は取り外す事になる。構造上、ラジエター固定面の上部に”ひさし”のようなものがあり(5.25インチオープンベイユニットとは別)、頭がつかえてしまう事が原因。この件についてAntecに聞いてみると、ポンプがウォーターブロックと一体型で、ラジエターに出っ張りがないモデルでは、360mmサイズラジエターもきちんと収める事ができるという。
ウォーターブロック上部が美しく発光するAntec「Neptune240」だが、例によって左サイドパネルがソリッドタイプだけに、完成時には密閉される事になる |
ウォーターチューブの長さは問題なく、ストレス無くマウントされている事がお分かり頂けるだろう |