エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.960
2021.02.05 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
テストセッションの締めくくるにあたり、各種ベンチマーク中の消費電力を忘れずチェックしておこう。消費電力の低さは小型PCのもつ特性の一つだが、TDP65Wのデスクトップ向けCPUを搭載した「VC66-C2B7025ZN」の場合は、どのような傾向に落ち着くだろうか。
ベンチマーク中の消費電力をワットチェッカーで計測したところ、最大は「CINEBENCH R23」動作時の149W。「VC66-C2B7025ZN」が150WのACアダプタで動作していることを考えれば、定格出力のギリギリまで消費電力が上昇していたことが分かる。モバイル版Core i7を搭載していた「Mini PC PN62」は最大50W未満だったため、性能相応に消費電力は増大しているというわけだ。
なお、アイドル時はわずか9Wであり、省電力性能もご立派。軽めのタスクであれば、かなり控えめな消費電力で済みそうな傾向だ。
ASUSが展開するミニPCの中では“兄貴分”のようなシリーズとあって、さすがに手のひらサイズの“弟分”に比べれば、大きめに感じるのは確か。しかしデスクトップ版のCore i7を搭載しながらこのサイズ感は技ありで、頼もしいパワーを最小限のフットプリントで提供してくれる。まさに小型PCとデスクトップPCのイイトコどりといった印象だ。
さらにCPUパワーだけでなく、有線LANに加えWi-Fi 6に対応するネットワーク、3画面出力も可能な充実のインターフェイスなど、見どころは多い。コンパクトなサイズ感も性能も欲しいという、欲張りなユーザーも満足できる製品だ。
その一方で自作派の一員としては、内部の2.5インチベイがブランクになっているなど、“遊び”のある標準構成にはジレンマを感じてしまう。その気ならトリプルストレージ構成も可能なわけで、完成品PCであるが故に本来の拡張性を活かしきれないというのは悩ましいところだ。
また、光学ドライブの搭載も想定した筐体設計ながら、搭載モデルが一般ショップで販売されない点も少々残念。自作派が好みそうないじり甲斐のあるベースなだけに、ベアボーンのような選択肢があっても良いのでは。そうアレコレ考えてしまうほど、魅力を感じるマシンだった。
協力:ASUS JAPAN株式会社