エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.963
2021.02.16 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
サイコム「G-Master Hydro X570A Extreme」 基本構成価格税込368,230円(2021年1月25日発売) 製品情報(サイコム) |
デュアル水冷をコンセプトに据える「G-Master Hydro」シリーズは、サイコムが手がける“特別なBTO”の代名詞とも言える存在だ。CPUとグラフィックスカードの両方を水冷化することで、静音化とともに冷却性能の大幅向上、それによるパフォーマンスアップを実現する。
そのコンセプトを支えるのが、サイコムが独自にオールインワン水冷化を施すグラフィックスカード。CPU向けのオールインワン型水冷ユニットが広く普及した現在でも、いまだGPUの水冷化はハードルが高い。それをユーザーに代わり、確実な仕事で実現してくれるのが「G-Master Hydro」シリーズというワケだ。
豊富なノウハウをもつ、デュアル水冷のパイオニアであるサイコム。「G-Master Hydro X570A Extreme」はその最新作として、1月末より販売が開始されている |
今回の主役である「G-Master Hydro X570A Extreme」はその最新作にして、Ryzen 5000シリーズおよびGeForce RTX 3090/3080という、現行最高レベルの環境をデュアル水冷化したマシン。さすが最新GPUをいち早く水冷化してきたサイコムだけに、GeForce RTX 3090/3080の水冷化も国内で一番乗りに成し遂げた。
その注目度は高く、サイコム担当者いわく「相当な在庫数を用意していた」とのことながら、初回分はわずか数日であっさりと完売。極めて好調なスタートダッシュを飾った。しかしその裏で、製品化の実現にはかつてない困難が伴ったという。
国内初の水冷化を果たしたGeForce RTX 3090/3080と、同じく水冷仕様のRyzen 5000シリーズを搭載。その構造は後ほど詳しくチェックしていこう |
その理由はシンプルで、TDPが300Wを上回るGeForce RTX 3090/3080の発熱が想像以上にシビアだったこと。そのため今回は、以前よりタッグを組む水冷の名門・Asetekに依頼し、240mmラジエターを搭載する新型クーラーを調達。さらにカード上のコンポーネントを冷却する3連ファンを組み合わせ、オリジナルのオールインワン型水冷仕様に仕上げた。
ちなみにサイコムによれば、オリジナル水冷仕様のGeForce RTX 3090グラフィックスは、一般的な空冷仕様に比べ15℃以上もコア温度が低下。さらに平均で約6%高い動作クロックを維持できたという。後ほどのテストセッションが楽しみになるデータだ。
さて、まずはここで「G-Master Hydro X570A Extreme」の基本構成をチェックしておこう。CPUは8コア/16スレッドのRyzen 7 5800Xで、クーラーは360mmラジエターを搭載したFractal Designのオールインワン型水冷ユニット「Celsius S36」。グラフィックスはオリジナル水冷仕様のGeForce RTX 3080だ。
システムの要となるマザーボードには、ASRockのハイエンドマザーボード「X570 Taichi」を採用。メモリはDDR4-3200 16GB(8GB×2)、ストレージはPCI-Express4.0に対応するCFD「PG3VNF」シリーズの1TBモデル(CSSD-M2B1TPG3VNF)が組み込まれる。
そしてPCケースは、Fractal Designの静音・高冷却ミドルタワー「Define S2 TG」を採用。電源ユニットには、80PLUS GOLD認証を取得したSilverStoneの850W電源「SST-ST85F-GS V2」がチョイスされている。
ちなみに豊富な項目を備えるカスタマイズメニューもサイコムの魅力だが、Ryzen 5000シリーズとGeForce RTX 3090/3080のデュアル水冷という柱が固まっているだけに、基本構成の時点で完成度は高い。引き続き次項からは、それぞれの構成パーツに順番にフォーカス。そのスペックや機能を詳しく見ていこう。