エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.964
2021.02.18 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
グラフィックスカードの搭載テストには、MSI「GeForce RTX 3080 GAMING X TRIO 10G」を用意した。簡単に紹介しておくと、GPUにNVIDIA GeForce RTX 3080を搭載し、冷却にはTRI FROZR2を採用。2スロットでは収まらない厚さ56mmと、奥行き323mm(幅140mm)のカードサイズ、重量は1,565gとされるハイエンドモデルだ。
とは言え、「Creator 400M」の拡張カード有効スペースは長さ456mmまでをサポート。数字上では十分に収める事ができるグラフィックスカードだ。
搭載方法は一般的な、筐体内部からのインチネジ固定。2段目と3段目の拡張スロット金具を取り外し、「GeForce RTX 3080 GAMING X TRIO 10G」をネジ留めする。左側面は開放的かつ、作業の妨げになるものがないだけに、重量級で長尺グラフィックスカードもストレスなく作業できた。
グラフィックスカードとフロントパネル(ラジエター)までの距離は実測で約90mm。画像からも空きスペースを十分に残している事が分かる |
組み込みセッションの最後に、ストレージの搭載方法を確認しておこう。「Creator 400M」のドライブベイレイアウトは過剰ではなく、平均的かつ必要最低限の装備に留められている。大容量ストレージの単価も安く、かつ必ずしもローカルにデータを置く必要もなくなった。自作PCも時代の流れにより、大きく姿を変えないPCケースでさえ少しずつ内部構造も変化している。
5.25インチ光学ドライブは、ユニットの左右からミリネジで固定。搭載にはフロントパネル、両サイドパネルを一旦取り外す必要があり、思いのほか大掛かりな作業になる印象 |
2.5インチSSD専用ブラケットは、ブラケットを取り外した状態でSSDを両側面からミリネジで固定。これを元の位置に戻せば作業は完了する。なおコネクタ向きは下方向を推奨。ケーブルの処理がしやすくなる |
ケージタイプの2.5/3.5インチ共用ベイは、専用トレイを利用。3.5インチHDDは両側面のネジ穴に突起を噛ませるツールフリー仕様。2.5インチSSDは底面ネジ留めでマウントする。コネクタはいずれも右サイドパネル側に向けて固定しよう |
エルミタ的速攻撮って出しレビューでは3台目となるMSIブランドのPCケース。これまでの2台とは明らかに異なり、シッカリかつドッシリとした作りが印象的だった。そもそもコンセプトが異なり、MSI初の本格的クリエイター向けPCケースという触れ込みの「Creator 400M」は、”それらしい製品”である必要があった。
定義こそ曖昧だが、第一に知的でクリエイティブな作業を邪魔しない、徹底した静音対策が施された。今回正確な防音効果の計測は見送ったが、高密度吸音材が貼り付けられたフロント開閉ドアやトップパネル、右サイドパネルはいかにも重厚で、ただならぬ雰囲気は誰もが感じられる。加えて5.38mm積層強化ガラスは、魅せる要素を兼ね備えた、初の静音効果を謳う強化ガラス製サイドパネルで、本来のターゲットである”クリエイター以外の自作派”からの興味も惹きつけた。
内部構造は現在主流のそれで、モデル特有の仕掛けは見当たらない。しかし、フロント開閉ドアのエッジデザインにこだわり、正面右側の縦ラインにはRGBイルミネーションのアクセントを追加。シンプルなデザインながら、フロントと左サイドに開閉アクションを設け、ミドルレンジたる説得力も上手に盛り込まれている。
折しも先日行ったショートインタビュー記事の内容によると、現在MSIではRGB LEDイルミネーション機能を必要としないユーザー向けに「UNIFY」シリーズを展開し、それがパワーユーザーに好評だという。クリエイター向けとれる「Creator 400M」とはコンセプトが近いことから、好調な「UNIFY」シリーズとの組み合わせは、ベストな選択となるだろう。従来の基幹PCパーツから、構成パーツまでラインナップを増殖させるMSI。「Creator 400M」から、同社が目指す方向性を垣間見た。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社