エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.971
2021.03.06 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
外装周りを一通り眺めた後は、内部構造に迫って行こう。モデル名が表す通り、「Meshify 2 Compact」はかなりコンパクトに設計されている。ほどよい全高は圧迫感がなく、場所させ許せばデスク上にも設置できる。他方、コンパクトゆえの拡張性は筆者のみならず、熱心な自作派たち共通の懸念事項だろう。Fractal Designの設計者はどのように折り合いを付けたのか。
左サイドパネルを取り外し、まずはATX、MicroATX、Mini-ITXの各規格に対応するマザーボードプレート(トレイ)を確認してみよう。出荷時より予めマザーボードをネジ留めするスタンドオフ(台座)が装着済みで、3段各3本合計9本のうち、2段目中央(赤丸)のみ位置決め用のピンタイプになっていた。近頃では多くのマザーボードで、バックパネルI/Oシールドが一体化されているが、分離型の場合はマザーボードの仮置き時に位置決めができると作業がしやすい。なおスタンドオフの内径はインチのようだ。
電源ユニットや2.5/3.5インチ共用ドライブケージを隠すボトムカバー(シュラウド)は、内部高約95mmのスチール製。前方から後方まで全てをカバーし、天板の約3分の2は通気孔仕様、前方約3分の1は取り外しができるABS樹脂製の「シュラウドインレー」が装着されている。
ボトムカバーフロント寄りの天板に搭載される、ABS樹脂製の「シュラウドインレー」。Fractal Design独自の装備は「Define 7」がそのルーツ。奥(右サイドパネル側)で引っ掛け、手前(左サイドパネル側)のツメで固定。なお取り外しには多少のコツが必要 |
2枚の「シュラウドインレー」を取り外すと、ボトムカバー天板前方には、幅最大約160mm(一部約148mm)、奥行き約125mm(冷却ファンまで)が開放状態になる。その役割はふたつで、ひとつは360mmサイズラジエターをフロントに搭載する場合、もうひとつが本格水冷を構築する場合に重要な役割を果たす。特に後者は底面にオプションの「Universal Multibracket – Type A」(型番:FD-A-BRKT-003)を固定する事で、ポンプやリザーバーの設置スペースになるというワケだ。
「Universal Multibracket – Type A」(型番:FD-A-BRKT-003)・・・国内市場では2020年6月より「Define 7」シリーズのオプションとして販売がスタート。ブラケットサイズは幅112mm、奥行き112mm、厚さ6mmで、ネジ取り付け箇所は105x105mmピッチを採用。共通部品として「Meshify」シリーズでも利用できる |
コンパクトな設計の筐体だけに、本格水冷の構築には向かないと考える人も多いだろう。しかし最適化された設計と、それに伴う拡張性の高さから、意外にもベース筐体としての素質は備わっている。腕に覚えがある自作派は是非チャレンジして頂きたい。
「シュラウドインレー」を外し、底面にオプションの「Universal Multibracket – Type A」を固定。レーザー距離計でマルチブラケットから上空のクリアランスを計測したところ、トップパネルまで426mmの空間が確保できている。ロングタイプのリザーバーも設置できる計算だ |
次にモデル選定に重要なポイントとなる、冷却ファンレイアウトを解説しよう。「Meshify 2 Compact」には、合計3基の冷却ファンが標準で装備されている。ユニークなのは、前面と背面では冷却ファンのサイズが異なる点で、前者には140mm、後者には120mmをそれぞれチョイス。さらに任意増設箇所や換装により冷却ファンの搭載数が変更できるなど、コンパクトでありながら設計の工夫で高レベルなエアフローレイアウトを実現している。
なお、標準ファンはFractal Designのカタログモデル「Dynamic X2 Fan」で、120mmが「Dynamic GP-12」、140mmが「Dynamic GP-14」を採用。いずれも軸受けはHigh-grade LLSで、MTBF100,000時間の長寿命が持ち味だ。