エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.977
2021.03.27 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
連結状態ではどのような挙動を見せるのか?別途電源ユニットを用意し、「PH-P1000GC」を介してシステムに接続する(画像はイメージです) |
ここまでの検証では「Revolt PRO」を“普通の電源ユニット”として扱ってきたところ、やはり最大の目玉機能である連結機能を試さないわけにはいかない。セカンダリ電源には容量1200Wの80PLUS TITANIUM認証モデルbe quiet!「Dark Power Pro 12」を用意し、合計2200W構成の電源環境でテストを行った。機材としては、「Dark Power Pro 12」からグラフィックスカード用のPCI-Express補助電源を出力、それ以外を「PH-P1000GC」から出力させている。
そしてテストメニューには「OCCT 8.0.1」の「Power」プリセットと「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ」ベンチマークをチョイス。これまで同様に30分間動作させてみた。
OCCT 8.0.1 |
ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズベンチマーク |
それぞれの電源ユニットが別口のコンセントに接続されていることから、“1500Wの壁”は楽々クリア。負荷がかかってもまったく動作に問題はなかった。さらにテスト中の挙動を見てみると、ほとんどシングル動作時と変わらない点に驚かされる。
いずれも12Vは変動幅2%未満の11.880Vにほぼ張り付きで動作しており、それは極めて数字の近い平均値からもうかがい知ることができる。グラフ波形もフラットそのもので、連結運用に不安はない。ただし消費電力は「OCCT」時に合計580W(395W+184W)、「FFXIV」時に516W(309W+207W)と微増。電力面でやや無駄は発生するようだ。
連結動作時に組み合わせた、be quiet!の1200W TITANIUM認証モデル「Dark Power Pro 12」 |
さらに2基の電源ユニットを連結することで、冗長電源化できる点も確認できた。テスト中に恐る恐る片方のケーブルを抜いてみても、動作に問題はなし。どのケーブルがどの電源に接続されているかは関係なく、例え「PH-P1000GC」を止めた場合でも片方が動いてさえいれば、システムの動作を維持できた。
今回「Revolt PRO」シリーズをレビューするにあたり、店頭で販売状況をチェックしている。すると特殊なモデルながら、ショップ店員ですら反応が「いつの間にか棚に並んでいた」といった具合で、搭載機能とは裏腹に存在感は希薄。80PLUS GOLD認証のフルモジュラーモデルとしては最も高価な部類に入る価格設定もまた、「ネタ的なモデルとしては高い」というイメージを作っていたのかもしれない。検証するまでは、筆者もほぼ同じ印象だった。
ところが実際に検証してみると、さすがSeasonic共同開発と言える電源ユニットとしての出来の良さ。そして目玉である連結機能が、想像以上に“使える”ということ。不格好な運用にならないためには相棒となるPCケースが限られてしまうが、1500Wの壁を容易に乗り越えて容量拡張できる点は面白い。しかも連結中でも、持ち前の安定動作が揺らぐことはなかった。メーカー側はまったく触れていないが、おそらくマイニング環境向けに容量を“注ぎ足す”ことも想定しているのだろう。将来的にグラフィックスカードをアップグレードしても、不安なく運用できるシステムが構築できるというわけだ。
さらに手持ちの電源ユニットを流用して、冗長電源化できる点も有用。“片肺”になってもシステムを維持できる容量を備えていることが前提ながら、それほど消費電力を増やすことなく冗長電源を導入できる。本当にそんな環境が必要なのかと自問しながら、うっかり「Revolt PRO」が欲しくなってしまう、意外にも実用的なギミックだった。
協力:Phanteks Company
株式会社アイティーシー