エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.979
2021.04.01 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
塗装の美しさに魅了された外観セッション。次に360°分解可能なツールフリー設計の外装パネルを取り外し、「NR200P Sakura」の核心部分をじっくり解説していこう。小型PCケースは、ミドルタワーPCケースの検証に比べ、はるかに手間が掛かる。それは限られた内部空間に詰め込んだ、設計者の苦労をひとつずつ丁寧にひもとく作業にも通ずる。
まずはマザーボード搭載スペースを確認してみたい。ミドルタワーPCケースとは少々異なり、マザーボードトレイと呼べるものや、ボトムカバー(シュラウド)のような用意はなく、強いて言うならば”マザーボードブラケット”が右サイドパネル側に装備されている。
そして「NR200P Sakura」はMini-ITXとMini-DTXの両規格に対応。手元資料によると、電源ユニットブラケットの搭載位置をフロントパネル裏に移設することで、マザーボードの設置スペースは縦244mm、幅226mmまで確保できる。なお、マザーボードブラケットには出荷時より4本のスタンドオフ(台座)が装着されていた。
次に冷却ファンレイアウトを解説しよう。まずトップパネル部の白色メッシュパネル裏側には、2つの冷却ファン増設スペースが用意されており、120mmファン2基が搭載できる。一般的なPCケース同様、排気方向に設置する事になり、熱の滞留を抑制し常時強制排出する役割を果たしてくれる。
ちなみに「NR200P Sakura」のアクセサリBOX(茶箱)内には吸気側にファンガードが装着された状態の、ホワイト色ファン2基が収められている。出荷時より装着されていない理由は、複数のパターンが想定される内部構成から、物理的に搭載ができない事があるため。組み込み前の状態では、任意で増設できるというレベルに留められている。なお十分なクリアランスが確保できないため、ラジエターの搭載は考慮されていない。
付属の120mmファンは25mm厚。固定方法はツールフリーで、トップパネル側に装着されているゴムブッシュに、冷却ファン側に装着されているピンを挿し込むだけ。なおファンガードを含めると、厚さは約30mmになる |
左サイドパネルを外すと、前方から後方までをカバーする、サイドブラケットが装着されていた。上下に2列のスリットがあり、その間は広くカットされている。ここにはオプションで120mmまたは140mmファンが最大2基搭載ができる。さらに120/140/240/280mmサイズラジエターも設置が可能。後ほど解説する事になるが、3.5インチHDD搭載用のネジ穴もあり、さながらマルチブラケットといったところだ。なおブラケット自体は左側上下2本のネジを外せば簡単に取り外す事ができる。ここでようやくドライバーの出番とあいなる。
ちなみにグラフィックスカード垂直マウントを選択した場合、左サイドブラケットに冷却ファンおよびラジエターは搭載不可 |
スリット仕様のボトム面には、120mmファン2基または120/240mmサイズラジエターが搭載できる。ただし2.5スロット占有デザインのグラフィックスカードを、一般的な水平マウントにした場合、スリムタイプ(15mm厚など)が推奨されている。なおラジエターを搭載する場合、グラフィックスカードは垂直マウントを選択する事になりそうだ。
少々分かりにくいが、リア面にも92mmファンが増設できるようになっている。背面をよく見ると縦3本のスリットが左右に設けられており、ここにネジ留めする事ができる。垂直スロットをまたぐ格好となり、ややエアフローにストレスが掛かるように見受けられる。ここに冷却ファンを増設する必要性は、一般利用では極めて低いと言えるだろう。
やや無理があるように見える、リアの92mmファン増設スペース。ラジエターのサポートも表記されており、国内流通は決して一般的ではないものの、AsetekやAlphacoolより市販されている |