エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.981
2021.04.04 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
テストセッションのラストは、第11世代のCore i9-11900K/KFのみに追加された最新ブースト機能「Adaptive Boost Technology」を試していこう。すべてのコアがアクティブでも5.10GHzの高クロック動作を実現する一方で、マザーボードの電源回路にも強烈な負荷がかかる機能だが、安定動作させることはできるのだろうか。
堅牢な電源回路と、強力なCPUクーラーが必要になるため「Adaptive Boost Technology」はデフォルトでは無効化されている |
「MEG Z590 ACE」では、無事全コア5.10GHzで動作 | シングルスレッド処理時のクロックは5.30GHzで変わらず |
「Adaptive Boost Technology」を有効にするとIntelの謳い文句通り、マルチスレッドテスト時のクロックは5.10GHzに上昇。「CINEBENCH」系のマルチコアテストはいずれも約4%パフォーマンスが向上した。ただし、シングルコアテスト処理時のクロックは変わらず、スコアにも全く影響がなかった。
続いて高負荷時のMOSFET温度を確認していこう。ストレステストは「CINEBENC R23:Minimum Test Duration:30 minutes」と「OCCT 8.0.1:CPU:データセット大」を使い、いずれも30分間連続動作させた際の「MOSFET」温度を「HWiNFO 7.0.0」で計測した。
「MPG CORELIQUID K360」のウォーターブロックにはファンが実装されているため、今回は敢えて風が直接吹き付けられないようにした状態で計測を行っているが、「MOSFET」の温度は標準状態で最高46.5℃、消費電力が100W以上増加する「Adaptive Boost Technology」を有効にした場合でも最高55.4℃までしか上がらなかった。大型ヒートシンクの冷却性能は高く、かなりピーキーなチューニングをした場合でも発熱が問題になることはないだろう。
Intelのメインストリーム向け最上位チップセットということもあり、メーカー各社から気合の入ったモデルが揃うIntel Z590マザーボード。その中でもハイエンドに位置づけられるだけあり、「MEG Z590 ACE」の電源回路は非常に優秀だ。定格での運用はもちろん、メーカー公認のブースト機能ながら強烈な負荷が掛かる「Adaptive Boost Technology」を有効にした状態でもビクともせず、第11世代Intel Coreプロセッサの能力を最大限に引き出すことができる。
第10世代Intel Coreプロセッサとの互換性も維持されている「MEG Z590 ACE」。クリエイティブワークのようなマルチスレッド処理が中心なら、価格もこなれている先代のCore i9シリーズを選択するのもアリだ |
またThunderbolt 4や、信頼性・安定性に定評のあるIntelチップによる2.5ギガビットLAN、Intel Wi-Fi 6E AX210による無線LAN機能など、最新の高速インターフェイスが充実しているのも特徴。ゲーム用途だけでなく、動画編集や3Dレンダリングなどのクリエイティブな作業でも力を発揮してくれる。
なおその場合、残念ながらPCI-Express4.0には非対応になるが、10コア/20スレッドとコア数が多く、マルチスレッド性能に優れる第10世代のIntel Core i9シリーズとの組み合わせがオススメだ。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社