エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.988
2021.04.20 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
ここからは、より現実的な負荷を想定してゲーム系のベンチマークテストを動作させてみよう。MMORPGの人気タイトルである「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ」の公式ベンチマークソフトを30分間連続で動作させ、その際の挙動をチェックする。なおグラフィックス設定は「最高品質」、解像度は3,840×2,160ドットを選択し、最大限の負荷がかかるように設定した。
消費電力は「3DMark」時より大きく、最大で636Wまで上昇。やはりGeForce RTX 3090を搭載する環境だけに、約75%程度と強めの負荷がかかっていた。
テスト開始時に若干数値が上下したため、全体の変動幅は数値上2.6%に拡大。しかし12Vは12.091Vに張り付きで動作しており、その傾向は近似の数値をマークしている平均値からも読み取れる。5Vと3.3Vもこれまで通りほぼ変動なし、フラットなグラフの波形が「NE850 Platinum」の安定した挙動を示している。
最後はより負荷の大きなゲーム系ベンチマークとして、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」をチョイス。描画品質はカスタム設定で最も負荷が大きくなるよう項目を選択し、3,840×2,160ドットの解像度で30分間ループで実行した。
ハイエンドグラフィックスカードでも4K環境では最高評価が難しい重量級タイトルだけに、消費電力は「FFXIV」を上回る653Wだった。負荷としては77%程度。現行GPUの中で飛び抜けて消費電力が大きいGeForce RTX 3090を搭載したシステムながら、(効率ではやや譲るものの)850Wの容量で電力不足になることはない。
断続的に強力な負荷がかかるためか、グラフからは数値の微細な変動が確認できる。しかし12V全体での変動幅は2.2%ほどに留まっており、変動自体が限られた範囲に絞られている点は好印象。ヘビーな処理を要求する重量級のゲームタイトルをプレイした場合でも、システムが不安定になることはないだろう。
ミドルレンジの電源市場において、Antecは「NeoECO GOLD」シリーズで極めて大きな成功を収めた。発売から3年半ほどが経過したいまでも、パーツショップの店頭で売り上げトップを争う人気モデル。今回新たに登場した「NE Platinum」シリーズは、そのやや上のグレードであるアッパーミドルクラスを攻略するために投入された自信作だ。
内部構造こそ「NeoECO GOLD」からガラリと刷新され、まったくの別モノになっているものの、堅実な信頼性重視のマインドは不変。シンプルな構造ながら高耐久コンポーネントを選りすぐった最新の設計により、検証でも優れた安定性を示してくれた。メインターゲットに据えたユーザーが選ぶであろう、ハイエンド級のCPU・グラフィックスカードを盛り込んだ構成もまったく不安なく駆動させることができる。
また、控えめサイズのヒートシンクが示す低発熱な設計と超静音ファンを組み合わせた、技ありの冷却機構も大きな魅力。ファンレスモードでも無理なく冷却可能な構造であるのはもちろん、万が一を考えた信頼性重視の常時回転も選べる冷却オプションは、幅広い層のユーザーにとってメリットになる。
さらにPLATINUM認証モデルは、GOLD認証電源に比べより効率的な動作が可能なことから、ランニングコストの面で有利な点も見逃せない。数あるPLATINUM認証製品の中にあって、「NE Platinum」シリーズが比較的手を伸ばしやすいエントリー価格帯である点は冒頭延べた通り。PLATINUM認証モデルへのステップアップを目論むミドルユーザーにとって、注目すべき選択肢になるのは間違いないだろう。
協力:Antec
株式会社リンクスインターナショナル