エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.991
2021.04.26 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
外観デザインをひと通りチェックし終えたところで、本稿のキモである内部構造に取り掛かろう。他に類を見ないスタイルだけに、外観からは想像できない箇所が数多くある。既存モデル「The Tower 900」に触れていないだけに、予習もままならない。さて一体どのような構造だろうか。Dismantlable Modular Designの利点を生かし、外せるところは片っ端から取り外した状態で、細かく解説していきたい。
フロントおよび両サイドの強化ガラス製パネルを別箱に保管し、まずはマザーボードトレイ面を見ていく。対応フォームファクタは170mm四方のMini-ITX規格のみとあって、実にシンプル。背面にハニカム状の通気孔と、標準搭載の120mm冷却ファンが確認できる部分が搭載エリアで、四隅には予めスタンドオフ(台座)が装着されていた。見た目には周辺クリアランスも確保できそうで、搭載作業自体も左右両サイドパネルが開放状態だけに、問題はなさそうだ。
次に冷却ファンレイアウトを解説しよう。近頃の小型筐体は、小さくてもハイエンドPCパーツが搭載できる点を最大のアピールポイントと据えられる傾向にある。決して悪いことでは無いが、限られた内部容積から、必然的に冷却性能が懸念される。長尺グラフィックスカードが搭載できる「The Tower 100」は、どのように折り合いを付けているのだろうか。
Thermaltake製品サイトからの引用。Mini-ITX専用筐体ながら、十分なエアフローが確保できていると解説されている |
トップパネルのポップオープン式ダストフィルタを外すと露わになるのが、標準装備の「Turbo fan」(120x120x25mm)だ。仕様書によると、回転数は1,000rpmで、騒音値は16dBA。中央のラベルに「TT-1225」と記載された標準ファンは、3pinコネクタ仕様のオーソドックスな7枚インペラ品だった。動作音は数値通り静かで、筐体内部の熱を上空へ排出する役割を果たしている。なお140mmファンへの換装にも対応し、120mmサイズラジエターの設置も想定されている。
標準品らしくシンプルな120mm冷却ファン。シャーシにはテーパーネジ固定で、取り外すには内部からドライバーを操る必要がある |
背面には120mmファンが1基標準で装備されている。搭載ファンはトップ同様「Turbo fan」(120x120x25mm)で、回転数は1,000rpm、騒音値は16dBAの3pinコネクタ仕様。ポジションはマザーボードの真裏で、マザーボードトレイからリアパネルまでの幅約50mmの空間に固定され、後方に排気を行うエアフローレイアウト。140mmファンへの換装用ネジ穴も設けられている。ただしラジエターの搭載はできない。
マザーボードトレイまでの幅約50mmの空間に25mm厚ファンをマウント。つまり吸気できる隙間は25mmという計算 | マザーボードで塞がれてしまう真裏に設置される位置関係。冷却効果はトレイ背面の空気を排出する程度に留められる |
ちなみにマニュアルには未記載ながら、ハニカム状のマザーボードトレイ背面にも120/140mmファンのネジ穴がある。実際搭載(移動)はできるものの、マザーボードとの隙間が約10mmとスタンドオフの高さだけになるため、ほぼ密着状態。つまり搭載は可能だが、推奨はできないといったところだろうか。
電源ユニットはボトムマウント。Thermaltakeロゴ付きのボトムカバー風トレイ下のエリアがそれで、奥行き180mmまでの搭載スペースが確保されている。近頃の市場には、高効率でショートサイズ&大容量な電源ユニットも複数見かけるため、選択肢に困る事はなさそう。また、ボトムカバー風トレイは取り外しができるため、フルモジュラー式の電源ユニットでも、ケーブルの抜き挿しにイライラする事はないだろう。
搭載面の周囲にはネジ固定された枠を用意。とは言え、ボトムカバー風トレイを外せば、フロント側から電源ユニットをインストールする事もできる |