エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.992
2021.04.28 更新
文:藤田 忠/撮影:松枝 清顕
Intel 500シリーズチップセット採用マザーボードと第11世代Intel Coreプロセッサを組み合わせることで、ようやくPCI-Express4.0(×4)接続のNVMe M.2 SSDを活かせるようになったが、7,000MB/secに達するパフォーマンスを安定して引き出すには、冷却がこれまで以上に重要となっている。実動作テストの手始めは、「Z590 AORUS ELITE AX」のPCI-Express4.0(×4)対応M.2スロットに実装されている「M.2 Thermal Guard」の冷却性能をチェックしていこう。
PCI-Express4.0(×4)対応NVMe M.2 SSDには、エルミタ的速攻撮って出しレビュー【実測7,000MB/sec超え。CFDの第2世代PCIe4.0 SSD「PG4VNZ」シリーズ徹底検証】で紹介しているCFD販売「PG4VNZ」の容量1TBモデルを搭載している。負荷テストには「CrystalDiskMark 8.0.1」を使いデータサイズ64GiB、テスト回数を9回に設定して3回連続で実行。その温度と転送速度の推移を「HWiNFO64 Pro」を使って記録、抽出した。
PCI-Express4.0(×4)対応NVMe M.2 SSDの「CSSD-M2M1TPG4VNZ」を使用 | 「CSSD-M2M1TPG4VNZ」を搭載。アイドル時は22℃と十分冷えている |
ヒートシンクをあえて装着しない状態の「CrystalDiskMark 8.0.1」の結果。サーマルスロットリングが発生してパフォーマンスがダウンしている | ヒートシンク装着時の「CrystalDiskMark 8.0.1」の結果 |
テスト環境はバラック状態かつ電源回路やCPU直下のPCI-Express4.0(×4)対応M.2スロットへのエアフローが最低限になるオールインワン水冷CPUクーラーなこともあり、ヒートシンク非装着状態ではあっという間に60℃台後半まで温度が上昇。「PG4VNZ」シリーズはサーマルスロットリングのしきい値が65~70℃とかなり低めなため、負荷テスト1回目から速度ダウンが見られた。一方、「M.2 Thermal Guard」を装着すると温度は最高でも55℃に抑え込まれ、安定した転送速度を発揮している。
テストセッションの最後は、Core i9-11900K/11900KFのみで使える最新ブースト機能の「Intel Adaptive Boost Technology」を試していこう。すべてのコアの最大クロックが4.8GHzから5.1GHzまで引き上げられ、大幅なパフォーマンスアップを実現する一方でマザーボードの電源回路や、冷却システムに半端ない負荷がかかる機能になっている。3万円台前半のメインストリーム向けマザーボードの「Z590 AORUS ELITE AX」で、安定動作させることができるのかチェックだ。
「Intel Adaptive Boost Technology」は、デフォルトの「Auto」から「Enabled」に変更することで有効になる | ABTを有効にすることで、Intelの謳い文句通りにオールコアが5.1GHzまで上昇した |
まずはCPUベンチマークテストの「CINEBENCH」系と、3DCGソフトウェア「Blender」の公式ベンチマーク「Blender Benchmark」の「victor」を定格時と、「Intel Adaptive Boost Technology」有効時で実行している。
定格運用時でも高いパフォーマンスを発揮するCore i9-11900Kだが、「Intel Adaptive Boost Technology」を有効にすることでマルチスレッドの最大クロックは5.1GHzまで上昇。「CINEBENCH」系のスコアと、「Blender Benchmark」の処理時間は、定格時から5%程度向上している。当然、クロックに変化のないシングルスレッドのパフォーマンスには影響が見られなかった。