エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.993
2021.04.30 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
各種スペックや機能を理解したところで、気になる「K70 RGB TKL」の使い心地を確かめていこう |
たとえ同じスイッチを採用したとしても、搭載環境によって打鍵感は雲泥の差になる。まさに「K70 RGB TKL」は、それをあらためて証明してくれるキーボードだ。軽快な押下特性ゆえに底打ちが前提となるCHERRY MX Speedと、圧倒的な剛性を備えたアルミ製のトッププレートは相性抜群。素早い連続打鍵で実感する硬質でほどよい反発と、入力時の残響音が実に心地良い。さらに厚みが1.5mmと重厚なキーキャップと相まって、荷重仕様以上の軽さを感じさせてくれる。
また、最上段のファンクションキーと下段とのスペースが通常より狭くレイアウトされており、ゲームで多様することも多いファンクションキーへのアクセスが極めて良好。底面に備える大型ゴムベースにより高速打鍵時の動揺もまったくなく、快適かつ安定した入力が可能だ。ただしチルトスタンド使用時の傾斜はごく一般的のため、より快適さを求めるならパームレストの導入をオススメしたい。
揺るがない頑丈なベースと肉厚のキャップで高速な短接点スイッチをサンドイッチ。想像以上の軽快さで打ちこめる |
Nキーロールオーバーによる全キー同時押し、100%アンチゴーストといったゲーミングキーボードの基本条件もしっかり満たしている |
「トーナメントスイッチ」をONにすると、分かりやすくバックライトが単色に切り替わる。カバーを跳ね上げてロックすれば、万が一にも勝手に機能がOFFになることはない |
また、「K70 RGB TKL」の特徴的な機能である「トーナメントスイッチ」もまた、使いどころを探してみたくなる面白さがある。機能マシマシが当たり前のゲーミングキーボードにおいて、そのカスタマイズ性を瞬時に無効化できる“安全装置”のようなギミックは、これまでにない発想だ。しかも単なるスイッチだけでなく、跳ね上げ式のロックカバーまで備える念のいりよう。間違ってもマクロを暴発させたくない、というシチュエーションにはこれ以上ない装備だろう。
昨今はマウスの可動域を広くとることができる60%サイズのキーボードも人気を集めており、ちょうどCORSAIRからも初の該当モデル「K65 RGB MINI」が発売されたばかり。それに対し今回取り上げた「K70 RGB TKL」は、フルサイズからテンキー部分のみを切り落とした、正統派レイアウトのコンパクトキーボードだ。
もちろんスタンダードなのは見た目のレイアウトだけであり、その機能やパフォーマンスは疑いなく最先端。業界最速8,000Hzレートの高速なデータ伝送や配列にとらわれない「iCUE」によるフルカスタマイズ、それらを瞬時に無効化できるユニークな「トーナメントスイッチ」など、注目の機能が目白押しだ。
もっとも8,000Hzレートもの高速レスポンスを最大限に活用するなら、オプティカルスイッチを採用する選択もあったはず。メカニカルスイッチはその特性上、金属接点が接触する際に、入力信号の跳ね返りで複数信号が送信されてしまうバウンシング効果をキャンセルするため、どうしてもわずかな遅延(デバウンスディレイ)が発生してしまうからだ。
しかしそれでもプロゲーマー監修による「K70 RGB TKL」は、CHERRY MXのハイレベルな信頼性と優れた打鍵感を評価し、あえてこの構成に落ち着いた。極上の打ち心地を生み出すこだわりの設計も相まって、“入力機器”として極めて高い完成度に仕上げられている。
協力:CORSAIR