エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.996
2021.05.11 更新
文:/撮影・pepe
はじめにリフレッシュレートの違いを体感するために、レースゲーム「Assetto Corsa」のリプレイを使用し、リフレッシュレート60Hz/120Hz/165Hzでそれぞれの違いを比較する。テストではディスプレイ同期を有効化するとともに、デジタルスチルカメラのスーパースローモーションにより画面を直接撮影している。
リフレッシュレートが高くなるにつれ画面更新の間隔が短くなり、カクつきの少ない滑らかな描画となる。一度165Hzを見てしまうと、60Hz環境では明らかに遅いと感じるだろう。
次は120Hzと165Hzだけを比較してみよう。僅差ではあるが165Hzがより滑らかなのが分かる。プレイヤー同士の実力が拮抗していれば、その差がアドバンテージとして上積みされる。またリフレッシュレートが高ければ、目への負担も軽減されるため集中したプレイであればなおさら必要なスペックだろう。
今度は165Hzに固定してディスプレイ同期を無効および有効とした状態を比較すると、ティアリング現象が発生している。そのズレはスローでも一瞬の出来事だが、実際に画面を見ていると不自然な水平方向にせん断される同期ズレが確認できる。普段からハイスピードなプレイをしているユーザーであればその違和感は大きいだろう。ディスプレイ同期を有効にすることで、PCのパフォーマンスにやや影響を与えてしまう可能性があるが、それを許容できるパワーがあるなら積極的にディスプレイ同期をONにしたいところだ。
27型のWQHD(2,560×1,440ドット)解像度、リフレッシュレート165Hzという基本スペックだけを見てしまうと、少しを通り越してかなり高価な印象だ。しかし、量子ドット技術による恩恵で最大表示色は約10億7,300万色、DCI-P3を約97%、AdobeRGBを99%、sRGBを100%カバーする広色域、ノングレアパネルにも関わらず光沢感すら感じる鮮やかな発色と色彩表現は、クリエイターやプロフェッショナルなユーザーも守備範囲とする実力で、割高な価格設定も止むを得ない。
後半のテストでは、リフレッシュレート165Hz駆動と1ms応答による高速パフォーマンスにより、スーパースローで確認してもその残像感はごくわずかだ。RAPID IPSによって「TN方式と比較するとIPSはやや遅い」といった、従来の先入観はこの「Optix MAG274QRF-QD」で排除されるだろう。165Hz駆動はDisplayPort接続時に限定され、HDMI接続時は上限が144Hzとなるが、HDMIで接続した機器間で相互連動するHDMI CEC(Consumer Electronics Control)に対応している。ダウンスケールやアップスケールは必要になるものの、PS5の1080p/120Hz表示やNintendo Switchとの接続に対応していることを踏まえれば、ピンポイントで刺さるユーザーは自然と手が伸びるはずだ。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社