エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.998
2021.05.15 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
テストセッションのラストは、第11世代Intel Coreプロセッサの最新ブースト機能「Adaptive Boost Technology」と、ASUSオリジナルの自動チューニング機能「AI Overclocking」でどの程度パフォーマンスを引き上げる事ができるか試していこう。
「AI Overclocking」は、「AI Optimization」ボタンを押すだけで後はシステムに合わせた最適なチューニングが自動的に行われる |
「AI Overclocking」を有効にするとマルチスレッド処理時は全コア5.00GHzで動作 | シングルスレッド処理時の最高クロックは5.30GHzで変わらず |
「Adaptive Boost Technology」を有効にすると、全コアアクティブ時の動作クロックは5.10GHzに引き上げられ「CINEBENCH」系のマルチコアテストはいずれも約6%向上した。また全コア動作時のクロックが100MHz低い5.00GHzの「AI Overclocking」と「Adaptive Boost Technology」の差はいずれも1%未満でほぼ誤差の範囲。一方、消費電力は60W以上も低く抑えられることから、「ROG STRIX Z590-F GAMING WIFI」でパフォーマンスアップを狙うなら「AI Overclocking」を選択したほうがいいだろう。
アイドル時のサーモグラフィ結果 | 高負荷時のサーモグラフィ結果 |
続いて消費電力が最も高くなった「Adaptive Boost Technology」を有効にした状態で、「CINEBENC R23:Minimum Test Duration:30 minutes」による負荷テストを実施した際の「VRM Thermistor」(マザーボードのセンサーデータ)の温度を確認したところ最高55℃。CPUソケット周辺のサーモグラフィも最高約70℃で頭打ちとなり、常用レベルのオーバークロックで冷却性能に問題が出ることはないだろう。
ASUSのIntel Z590チップセットモデルとしてはミドルレンジに位置づけられる「ROG STRIX Z590-F GAMING WIFI」。しかし電源回路はフェーズ数、冷却機構とも前世代から確実に進化しており、強烈な負荷が掛かる「Adaptive Boost Technology」でも全く問題なし。さらに1クリックチューニング機能「AI Overclocking」を使えば、よりスマートに同等のパフォーマンスを実現することができる。
また拡張性についても上位モデルとの大きな違いはThunderbolt 4の有無ぐらい。特にNVMe M.2 SSDについては、グラフィックスカードのレーン数とのトレードオフはあるもののPCI-Express4.0(x4)x2、PCI-Express3.0(x4)x2の最大4台まで搭載でき、同クラスの製品としては間違いなく最高峰。Intel 500シリーズではCPUとの帯域幅が広がったことで、Intel RSTによるNVMe RAIDを構築する際のボトルネックも解消されている。
ハイエンド顔負けの堅牢電源と高い拡張性を備えた「ROG STRIX Z590-F GAMING WIFI」は、ミドルレンジながら第11世代Intel Coreプロセッサを十分に引き出すことができる1枚だ。
協力:ASUS JAPAN株式会社