エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1002
2021.05.28 更新
文:/撮影:藤田 忠
メーカーが独自に動作クロックとレイテンシ、動作電圧を設定するオーバークロックメモリを使用する場合、各種項目の手動での設定が必須になっている。これは環境によっては、オーバークロック設定だと起動しない、動作が安定しないといったことが起こり得るためで、マザーボード初期起動時は、オーバークロックメモリが搭載したメモリチップのJEDEC規格に準拠したクロックとレイテンシをSPDから読み出して、起動するようになっている。とは言え、レイテンシや動作電圧といった各種項目をひとつひとつ設定する必要はなく、メモリのSPDに記録されているオーバークロック設定の「XMP(Extreme Memory Profile)」を読み出すだけで大丈夫だ。
ちなみに「XMP」は、もともとはIntelが策定したオーバークロックメモリの規格だが、現在ではすべてのメモリメーカーが採用しており、AMDプラットフォームでも同じように読み出し、適用することができるようになっている。
「F4-3600C16D-32GTZNC」は、1,066MHz動作となるDDR4-2133準拠のメモリチップを採用。初回起動時はDDR4-2133で動作した | メモリチップのJEDEC規格に準拠した設定に加え、オーバークロック動作の「XMP」が、SPDに記録されている |
XMPプロファイルの読み出しは、多くのマザーボードで最初に表示される簡易設定BIOS/UEFI画面から、ワンクリックで行えるようになっている。今回使用したASUS「TUF Gaming」シリーズも同様で、「EzMode」の右側に表示される「X.M.P.」タブを「Disabled」から「Enabled」に変更。あとはセーブ、再起動すれば設定が適用される。
「Advanced Mode」での設定も難しくなく、「Ai Tweaker」タブの「Ai Overclock Tuner」を「Auto」から「XMP I」を選択すれば適用される。ちなみに各種設定は「Ai Tweaker」タブで確認でき、「DRAM Frequency」がメモリクロック、「DRAM Voltage」が動作電圧、「DRAM Timing Control」が各種レイテンシの設定になっている。
そのほか、第11世代Intel Coreプロセッサでは、対応メモリクロックがDDR4-3200まで引き上げられたが、DDR4ー3200で動かす際のメモリコントローラーとメモリのクロック比がモデルで異なっている。Core i9ー11900K/KFと、それ以外のCore i9/i7/i5で分かれており、Core i9ー11900K/KFのみメモリコントローラとメモリクロック比がデフォルトで1:1(Gear1)に設定され、そのほかは1:2(Gear2)になる。この比率は「Memory Controller:DRAM Frequency Ratio」で変更することができる。
「TUF Gaming」シリーズは、「EzMode」の「X.M.P.」を「Enabled」に変更するだけと簡単だ |
「Ai Overclock Tuner」で、XMPを選ぼう。なお、「XMP I」と「XMP II」の設定は同じことが多い |
「XMP」の項目が追加表示され、選択したプロファイルのクロックやレイテンシを確認できる |
XMPを適用したものの、動作が不安定になる場合は、「DRAM Frequency」でクロックを下げたり、「DRAM Timing Control」でレイテンシの値を大きくして、タイミングを緩くしたりするのも手だ |