エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1003
2021.05.31 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
発熱の多いNVMe M.2 SSDを効率的に冷却するため、両面にサーマルパッドを備えたオリジナルM.2ヒートシンク「M.2 Shield Frozr」を搭載する「MEG Z590 GODLIKE」。その気になる冷却性能を早速チェックしていこう。テストに使用したSSDはCFD「PG4VNZ」シリーズの1TBモデルで、負荷テストは「CrystalDiskMark 8.0.1」をデータサイズ64GiB、テスト回数を9回に設定して3回連続で実施。その温度と転送速度の推移を「HWiNFO64」を使い計測した。
ヒートシンクなしの「CrystalDiskMark 8.0.1」の結果 | ヒートシンク装着時の「CrystalDiskMark 8.0.1」の結果 |
ヒートシンクなしの状態では、テストデータの書込を行う準備段階で一気に温度が70℃まで上昇。その後はサーマルスロットリングが発生してしまい、転送速度は1,000MB/sec台で頭打ちになってしまう。一方、ヒートシンクを装着すると温度上昇は緩やかになり、最高温度も61℃までしか上がらなくなった。当然サーマルスロットリングと思われる症状も解消され、読込・書込とも公称転送速度に準じた性能を発揮する。
ヒートシンクなし:アイドル時のサーモグラフィ | ヒートシンクなし:高負荷時のサーモグラフィ |
ヒートシンク装着時:アイドル時のサーモグラフィ | ヒートシンク装着時:高負荷時のサーモグラフィ |
続いてサーモグラフィの結果を確認するとヒートシンクなしでは、アイドル時でも60℃以上、高負荷時は99℃に達するところも確認できた。PCI-Express4.0(x4)接続の高速NVMe M.2 SSDを使用する場合、パフォーマンスだけでなく製品寿命を伸ばす意味でもヒートシンクは必須条件になりそうだ。
「MEG Z590 GODLIKE」には、オンボードのM.2スロットに加え、拡張カード方式の「M.2 XPANDER-Z GEN 4 S」が付属し、PCI-Express4.0(x4)接続のNVMe M.2 SSDをさらに2台増設することができる。そこで、CFD「PG3VND」シリーズの1TBモデルを2枚追加し、Windows 10に実装されているストライプボリュームを試してみることにした。
「M.2 XPANDER-Z GEN 4 S」を使用する場合、CPUのPCI-Expressレーンを8x/4x/4xに分割する必要がある |
「ディスクの管理」からストライプボリュームを作成。ウィザード形式のため特に戸惑うことはないだろう |
ストライプボリュームの作成が完了したところ。なおフォーマットには5分ほど時間がかかった |
シングルボリューム(単体) | ストライプボリューム(2台) |
ストライプボリュームを作成することで、シーケンシャル読込は約1.5倍の7,519MB/secへ、書込は1.9倍以上の8,210MB/secまで転送速度を引き上げる事ができた。「M.2 XPANDER-Z GEN 4 S」を使用する場合、グラフィックスカードのレーン数が8レーンに制限されるデメリットもあるが、実際のパフォーマンスへの影響はそれほど大きくない。高速なデータドライブが必要な場合はストライプボリュームを試してみるといいだろう。またWindows 10 Proを使用している場合は、データを2重化できるミラーボリュームを作成することもできる。
ちなみにベンチマーク中のSSD温度は2台とも最高46℃で頭打ち。大型ヒートシンクに加えてファンも搭載する「M.2 XPANDER-Z GEN 4 S」の冷却性能は、「M.2 Shield Frozr」よりもさらに優秀だった。
続いてフラッグシップモデルらしい装備の一つでもある、10ギガビットLANのパフォーマンスをチェックしていこう。テスト用のドライブにはWindows 10のネットワークドライブ機能を、ベンチマークソフトは「CrystalDiskMark 8.0.1」を使用。なお比較対象としてIntel「I225-V」による2.5ギガビットLAN接続でも転送速度を計測している。
Marvell(旧Aquantia)「AQtion AQC-107」を利用することで10Gbpsの高速転送が可能 | Intel「I225-V」でもギガビットLANの2.5倍にあたる2.5Gbps接続に対応する |
10ギガビットLAN接続 | 2.5ギガビットLAN接続 |
2.5ギガビットLAN接続では読込・書込とも約290MB/secで頭打ちになるのに対して、10ギガビットLANでは読込が最高1,169MB/sec、書込も最高1,062MB/secでUSB3.2 Gen.2接続の高速SSDに匹敵するパフォーマンスを発揮する。未だ対応するハブが高価で、ケーブルもカテゴリ6a以上が必要になるなど、導入するハードルは高いがその分効果も絶大。大量のデータをネットワーク経由で扱う場合は10ギガビットLAN環境がおすすめだ。