エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1003
2021.05.31 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 池西 樹/撮影:松枝 清顕
「MEG Z590 GODLIKE」の「Click BIOS 5」には、2種類の「Adaptive Boost Technology」が用意されていた |
テストセッションのラストは、第11世代のCore i9-11900K/KFのみに追加された最新ブースト機能「Adaptive Boost Technology」を試していこう。すべてのコアがアクティブでも5.10GHzの高クロック動作を実現する一方で、マザーボードの電源回路にも強烈な負荷がかかる機能だが、安定動作させることはできるのだろうか。なお「MEG Z590 GODLIKE」の「Adaptive Boost Technology」には、「Enabled」と「Enabled 251W」の2種類の項目が用意されていたため、今回は両方の設定で動作を確認してみることにした。
通常の「Adaptive Boost Technology」では、全コア5.10GHzで動作 | 251W設定の「Adaptive Boost Technology」では、最高で5.10GHzまでクロックが上がるもののコアごとに大きく変動する |
通常の「Adaptive Boost Technology」では、全コアがアクティブな状態でも5.10GHzまでクロックが上昇し、「CINEBENCH」系のマルチコアテストはいずれも約4~5%パフォーマンスが向上した。一方、251W設定では「CPU Package Power」が230W前後までで制限されるようで、「Click BIOS 5」のクーラー設定で「Water Cooler」を選択した場合は、定格よりもクロックが下がってしまうコアが発生。これにより若干パフォーマンスが低下してしまった。またシングルコアテスト処理時のいずれもクロックが変わらず、スコアにも全く影響がなかった。
続いて高負荷時のMOSFET温度を確認していこう。ストレステストは「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」と「OCCT 8.0.1:CPU:データセット大」を使い、いずれも30分間連続動作させた際の「MOSFET」温度を「HWiNFO 7.0.4」で計測している。
「Adaptive Boost Technology」有効/「OCCT 8.0.1:CPU:データセット大」 | 「Adaptive Boost Technology」有効/「CINEBENCH R23:Minimum Test Duration:30 minutes」 |
今回は、敢えて「MPG CORELIQUID K360」のウォーターブロックに実装されているファンの風ができる限りあたらないようにして計測を行っているが、「MOSFET」の温度は定格状態では最高51.0℃、「Adaptive Boost Technology」を有効にした状態でも最高52.5℃で頭打ち。サーモグラフィの温度も低く保たれており、「MEG Z590 GODLIKE」に実装されているヒートシンクの冷却性能はとても優秀。一般的なオールインワン型水冷ユニットを使い、ピーキーなチューニングをした場合でも冷却性能が不足することはないだろう。
これまでも常に最先端の機能を搭載してきた、MSIの最上位マザーボード「GODLIKE」シリーズ。そのDNAは「MEG Z590 GODLIKE」でも継承され、10ギガビットLANや小型OLED「Dynamic Dashboard II」、遠隔でのチューニングを可能にする「Tuning controller」など唯一無二の機能が満載だ。特にIntelプラットフォームながら、最大3台のPCI-Express4.0(x4)SSDを可能にする「M.2 XPANDER-Z GEN 4 S」は、他の製品にはないアドバンテージになる。
さらに強烈な負荷が掛かる「Adaptive Boost Technology」でも全く揺るがない、20+1フェーズにおよぶ「Direct Power Phases Design」電源回路もパフォーマンスを重視するユーザーには魅力的な装備になるだろう。これら豪華な仕様のため、価格もワンランク下のハイエンド「MEG Z590 ACE」の2倍以上に膨れ上がっているが、コスト度外視のフラッグシップで価格に言及するのは野暮というもの。とにかく最高峰のLGA1200マザーボードが欲しいなら「MEG Z590 GODLIKE」以外の選択肢はない。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社