エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1012
2021.06.19 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
魅せる要素十分なPCケースとあって、両サイドパネルには内部が透けて見える4mm厚の強化ガラスが装着されている。とは言え比較的濃い色のガラスが使われており、イルミネーション内蔵パーツの高輝度な鋭い光を抑える役割も果たしてくれる。多少煩雑に処理したケーブル類を隠すにも都合がいい。
なお着脱にはボールジョイント式を採用。上下各2本の突起により比較的しっかりと固定できており、工具いらずで簡単に取り外す事ができる。
4mm厚強化ガラスの上下部分にはスチール製のプレートを装着。これに上下各2本の突起が設けられていた |
取り外しはワンタッチ式のツールフリー仕様。一般的なミドルタワーPCケースに比べ、サイドパネル自体の面積が小さく比較的軽量だけに扱い易い |
傾斜角が大胆な後方に回り込み、リアパネルのレイアウトを見ていこう。まず誰もが違和感を覚えるのは、拡張スロット(計4段)が最上部に位置する点だろう。ともすれば上下逆さまではないかと疑わしき画像だが、「Dark Cube」はこれが正しい。ひとまず順を追って確認していくと、中段の右手開口部はマザーボードのバックパネル、左手の通気孔は冷却ファンの増設スペースだ。そして最下段の最も大きな開口部には電源ユニットがマウントされる。
このように、リアパネルの各レイアウトから、マザーボードを逆さまに固定する、倒立レイアウトが採用されている事が分かった。大胆な外観デザインはもとより、「Dark Cube」は内部構造まで個性的なPCケースという事になる。
通常なら本体をひっくり返すところだが、アウターフレームのみの状態にできる事から一旦インナーシェルを外し、後方を立てかけた状態でボトムパネルを観察してみたい。ありがちな四隅のインシュレーターはなく、前後には横に長い滑り止めラバーが2本装着されていた。カタログ画像や手元資料の画像を見ると、明らかに前後に傾斜しているように見える外観デザインだが、実際にボトム面を見ると、極端な段差などは設けられておらず、意外にもフラットである事が分かる。多少は前後の違いはあるはずだが、多くはアウターフレームの前後カットによる”錯覚に近い”もので、見る角度によって全体に異なる印象を与える、なんとも不思議な筐体である事に、改めて気付かされた。
前後には滑り止めラバーを装着。これをボトム面の凸部に貼り付けられている事が分かる | 電源ユニット搭載エリアには、正方形の通気穴と内部には防塵フィルタが装着されている事を確認 |
単なるフロントアクセスポートとして解説できないのが「HOT-SWAP I/O PANEL」だ。まずはPCケース外側を見ると、正面右端からAudio/ヘッドホン、USB3.0、USB3.1 Type-C、USB3.0、Audio/マイクの各ポートがレイアウトされている。さらにフロントトップ中央には円形のPowerスイッチ、その上にLEDコントロールボタンが並ぶ。
Powerスイッチの上部に位置する小さな円形スイッチは、LEDコントロールボタン。フロントパネル四隅に内蔵されたライティングバーのLED変更ができる |
そして内部に目を向けると、各種スイッチ&アクセスポート背面には基板がネジ留めされていた。これだけなら珍しくはない光景だが、アウターフレームとインナーシェルが分離する事から、前者には基板、後者にはPCI-Expressバス形状のスロットがあり、スライド着脱のアクションにより接点が連結/分離する。インナーシェルはアウターフレームの溝に沿って遊び無くスライドさせることから、両者はスムーズに連結できる仕組みだ。これはよく出来ている。
インナーシェルはマザーボードからグラフィックスカード、電源ユニット、ストレージまで、全ての構成パーツが積み込まれる。これをスライドによりゴッソリ引き出せるとあって、アウターフレームに各種スイッチ&アクセスポートからのケーブルを直付する事は考えにくい。他に方法もあるだろうが、「Dark Cube」設計者の選択はホットスワップ式だったというワケだ。