エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1012
2021.06.19 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
「Dark Cube」はやや大型なミドルキューブだけに、本来一般的なキューブ型よりも冷却性能にアドバンテージがあっても不思議ではない。外周まわりの表面積はもとより、内部容積も広くなれば、冷却ファンの搭載可能数にも期待してしまう。
ただし両サイドパネルとトップパネルは強化ガラスで塞がれ、さらにマザーボード倒立レイアウトにより、グラフィックスカードがトップパネルに正対してマウントされる(後述)。どちらかと言えばデザインを優先した「Dark Cube」の選択は、市場からどのように評価されるのだろうか。ここからは冷却ファンおよびラジエター搭載スペースに注目していく。
グラフィックスカードはトップマウントを選択。魅せる事を優先したアイデアだが、本来冷却ファン増設スペースとして活用される一等地の占有だけに、冷却性能とのトレードオフは果たして正解だったのか |
「Dark Cube」の冷却ファン増設スペースは2箇所。その内から、まずはフロント部を確認してみよう。通気性を高める格子状のフロントパネル内部のスチール製シャーシ面には、120mmまたは140mmファン2基分のネジ穴が用意されている。
近頃のPCケースとしては珍しく冷却ファンは全て別売りで、必要であればユーザーが必要な回転数・風量の冷却ファンを用意し、増設するという仕組み。陳列棚に溢れんばかりの選択肢から、好みの冷却ファンが選択できる事はメリットだが、余分な出費と考えるユーザーもいるだろう。ともあれ、超ハイエンド志向の構成パーツを組み込まなくとも、フレッシュな外気を常時取り入れる事ができるフロントファンくらいは用意したい。オマケにRGB LED内蔵ファンなら、フロントパネルをイルミネーションで彩ることができる。
格子状のフロントパネルを外すと露わになる、シャーシ側の冷却ファン/ラジエター搭載スペース。ネジ穴はスリットタイプで、固定位置の微調整に対応する |
なおフロントパネル内部には120mm、または240mmサイズのラジエターが搭載可能。ただし140mmおよび280mmサイズラジエターはサポート外である事を覚えておこう。
くどいようだが、「Dark Cube」は冷却ファンの一切がオプション扱い。2箇所目の搭載スペースであるリア面も空きスペースで、120mmファンまたは120mmサイズラジエターが搭載できる。設置面にはハニカム状の通気孔が設けられ、ネジ穴はスリットタイプを採用。ラジエターは最もオーソドックスな120mmサイズラジエター採用のオールインワン型水冷ユニットがマウントできるというワケだ。内部容積に限りがあるMicroATX規格のCube型筐体だけに、やはり常時吸気と常時排気のエアフローレイアウトは構築しておく方が無難だろう。緩やかな回転の冷却ファンでも、内部の気流はガラリと変わる。暑い夏場や暖房で室温が上昇する冬場など、常に安定動作を目指すなら、最低限必要な投資として是非冷却ファンの増設をオススメしたい。
シャーシフロント裏面の基板上、左端には3基分の4pin(PWM)コネクタが実装されている。3ch冷却ファンハブは、増設したフロントファンなど、マザーボード上の冷却ファン用コネクタを消費することなく、1箇所に集約して給電できる。なお電源供給用にはSATA電源ケーブル1本を別途接続する必要がある。
便利な3ch冷却ファンハブ。特にフロントファン(ラジエターファン)に近いため、最短距離で給電ができるメリットがある。ケーブルマネジメントの観点からも有利だろう |
拡張スロットはMicroATX規格対応とあって、全4段を装備。マザーボード倒立レイアウトだけに、最上段にレイアウトされている。なお左手にはスロット金具を固定するステイがハンドスクリュー2本で固定されていた。のちほど実際にグラフィックスカードを固定し、装着感などを確認してみよう。